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干瓢巻き、すごい!

この日の最後は江戸前の巻物の代表選手、干瓢巻き。栃木県壬生の天日干し・無添加の干瓢を使用。柔らかくて繊細だ。干瓢巻きの美味しさがわかるようになったのって、実は結構な大人になってから。その喜びが味蕾を刺激しまくる。

「淡白なネタの後に強めのものをお出しするなど、にぎりの味わいにも緩急をつけています。指揮者のように流れをコーディネートしていると捉えていただけたら」(木目田さん)

そうか。「まるで寿司界のマエストロですね!」と話すと「そうなれたらいいですね」と笑う。

エビのすり身を入れて炭で焼いた玉子は、まるでプリンのようななめらかな舌触り

極めつけは「シャリ」の存在感!大将の所作の美しさにもうっとり

ネタの良さはもちろんなのだが、シャリの存在感が非常に印象に残った。口に含むとはらりとほぐれるが、お米の一粒ひと粒が主張してくる。というのも、粒が大きいものを使用し、米の粒だちをしっかりとさせる炊き方にこだわっているのだそう。

この日のお米はあきたこまち。元々付き合いのあるお米マイスター「銀座食糧販売」に相談して仕入れている。

お酢は東京・新木場に本社を置く醸造酢メーカー『横井醸造工場』(ヨコ井)の寿司店向け商品「琥珀」をメインに赤酢など3種類をブレンド。

試行錯誤して現在のシャリの形にたどり着いたそう。粒立ちも含めて力強いシャリなので、それに負けないネタを出しており、満足感が格別だ。

「このシャリでいこうと決めたからこそ、ネタの仕込みも変わってきます」

なお、海苔は香りの良さが抜群な伊勢のものを使用。諸説あるそうだが、今の伊勢湾の形が昔の江戸湾と近しいのだとか。豊富な養分を含んでいるため、これだけパワフルで香り高い海苔になっているのだ。

もちろん、新生姜を使った自家製のガリなども抜かりない。感動していたら、「シャリ、ガリ、あがり、海苔、『り』が付くものを褒めていただけるのはとてもうれしいです」と話す。

これらは脇役のようでお寿司屋さんにとって、重要なファクターなのだそう。

所在地の神田錦町は江戸時代からの武家町。諸説あるが、旗本・一色(いっしき)氏の屋敷が2軒あったことか
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3人のチームワークが「革新的な王道」を生む...
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市村 幸妙
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