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エルヴィス・コステロと結婚

ややアルト気味のダイアナ・クラールのヴォーカルと彼女の流麗なピアノ曲を盛り上げるオーケストレーション、ラッセル・マローン(1963~2024年、米ジャズ・ギタリスト)、ジェフ・ハミルトン(1953年~、米ジャズ・ドラマー)など現代の名バック・ミュージシャンが生み出す世界は美しく、華麗につきる。

このアルバム発表後、ダイアナ・クラール は英国人ロッカー、エルヴィス・コステロ(1954年~)と結婚した。そのコステロも大のバカラック・ファンで、バカラックとの共作・共演で『The Songs of Bacharach & Costello』(2023年)という素晴しいアルバムを生み出している。

グラミー賞に輝く良音、お酒のお供に聴きたい“夜のアルバム”

この『The Look of Love』は夜のアルバムだとぼくは思う。夜半、お酒でもお供にじっくりと聴いていると、心がゴージャスになってくる。雨の夜のドライヴにもぴったりだと愛用ならぬ愛聴している。

もうひとつ、このアルバムの特徴は録音が素晴しいことだ。グラミー賞では良音アルバムに贈られる最優秀エンジニアリング部門賞を受賞している。グラミーお墨付きの良音アルバムというわけだ。ちょっと良いステレオ・ セットやカーオーディオをお持ちの方なら 録音の素晴しさにすぐ気付けるだろう。

CD はオリジナル盤の他に2020年秋にハイレゾ・ サウンドが聴けるMQA-CDが発売されている。ハイレゾ再生ができなくてもこのCDは UHQCDという普通のCDより高品質の音が楽しめるので、これを機会に購入しようとする方にはそちらをお勧めしたい。

『ザ・ルック・オブ・ラヴ(The Look Of Love)』
1、ス・ワンダフル (’S Wonderful)
2、ラヴ・レター (Love Letters)
3、アイ・リメンバー・ユー (I Remember You)
4、クライ・ミー・ア・リヴァー (Cry Me A River)
5、ベサメ・ムーチョ(Besame Mucho)
6、ザ・ナイト・ウイ・コールド・イット・ア・デイ (The Night We Called It A Day)
7、ダンシング・イン・ザ・ダーク (Dancing In The Dark)
8、アイ・ゲット・アロング・ウイズアウト・ユー・ヴエリー・ウェル(I Get Along Without You Very Well)
9、ザ・ルック・オブ・ラヴ (The Look Of Love)
10、メイビー・ユール・ビー・ゼア(Maybe You’ll Be There)

岩田由記夫
1950年、東京生まれ。音楽評論家、オーディオライター、プロデューサー。70年代半ばから講談社の雑誌などで活躍。長く、オーディオ・音楽誌を中心に執筆活動を続け、取材した国内外のアーティストは2000人以上。マドンナ、スティング、キース・リチャーズ、リンゴ・スター、ロバート・プラント、大滝詠一、忌野清志郎、桑田佳祐、山下達郎、竹内まりや、細野晴臣……と、音楽史に名を刻む多くのレジェンドたちと会ってきた。FMラジオの構成や選曲も手掛け、パーソナリティーも担当。プロデューサーとして携わったレコードやCDも数多い。著書に『ぼくが出会った素晴らしきミュージシャンたち』など。 電子書籍『ROCK絶対名曲秘話』を刊行中。東京・大岡山のライブハウス「Goodstock Tokyo(グッドストックトーキョー)」で、貴重なアナログ・レコードをLINN(リン)の約400万円のプレーヤーなどハイエンドのオーディオシステムで聴く『レコードの達人』を偶数月に開催中。近著は『岩田由記夫のRock & Pop オーディオ入門 音楽とオーディオの新発見(ONTOMO MOOK)』(音楽之友社・1980円)。

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