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ほぼ5ナンバーサイズで登場

アルテッツァは1998年10月30日に正式発表され、発表と同時に販売を開始。ボディサイズは全長4400×全幅1720×全高1410mmで、全幅は1700mmを超えるため3ナンバー登録となるが、ほぼ5ナンバーと言っていいコンパクトなセダン。そしてアルテッツァで最も重要なのは、駆動方式がFRということ。コンパクトなFRということがアルテッツァの存在意義なのだ。

エンジンは2L、直4DOHC(210ps/22.0kgm)と2L、直6DOHC(160ps/20.4kgm)の2種類を設定。スペックからもわかるとおり、スポーツモデルは直4搭載モデルだ。直4搭載モデルがRS200、直6搭載モデルがAS200というグレードとなっていた。クルマ界では数が多いほうが偉いのが一般的。4気筒より6気筒が上級となるなか、アルテッツァは4気筒のほうが上に位置していた点では珍しい。この理由については後述する。トランスミッションはRS200が6MTと5ATに対しAS200は4ATのみと差別化。

価格は207万~250万円と、当時でも買い得感の非常に高い設定となっていた。

日本で扱いやすいジャストサイズのセダンとしてもっと売れてよかった

セダンながらクーペフォルムを採用

トヨタはセダンイノベーションの一環として、2代目アリストの登場を機にFRプラットフォームを刷新。そのプラットフォームはプログレ、アルテッツァにも使われている。ただし、アリスト、プログレのホイールベースが2780mmなのに対しよりコンパクトなアルテッツァは2670㎜に短縮されている。

前後のオーバーハングを切り詰めてスポーティさを好演出

アルテッツァのエクステリアデザインは直6エンジンを搭載していることもありロングノーズ&ショートデッキのクーペフォルムを採用している点が特徴だ。また、前後のオーバーハングを切り詰めたことでスポーティ感を好演出。フロントマスクは今のクルマと比べると若干おとなしい感じがする比較的オーソドックスなもの。当時からもう少し精悍なフロントマスクだったら、という願望は聞かれた。一方丸灯を埋め込んだクリアテールは個性的なデザインで、ひと目でアルテッツァとわかって好評だった。

丸灯を埋め込んだクリアテールはアルテッツァのアイデンティティ

『頭文字D』の影響でAE86が大人気

アルテッツァと言えば、決まり文句がある。『AE86の再来』だ。知らない人のために説明をしておくと、AE86とは1983~1987年に販売された4代目カローラレビン/スプリンタートレノの型式で、手頃なサイズのライトウェイトFRスポーツとして若者を中心に根強い人気を誇る、今となっては伝説のトヨタ車だ。

AE86が販売終了後10年以上経過して話題になっていたのは、しげの秀一先生作の『頭文字D』(講談社・2024年10月現在シリーズ累計発行部数5600万部超)の主人公、藤原拓海の愛車がAE86トレノだったことの影響にほかならない。クルママンガの金字塔『頭文字D』の大ヒットによりAE86の中古相場が爆上がりするなど社会現象にまでなっていたほど。

絶版後10年以上経過して中古車が大人気となったAE86トレノ

アルテッツァはセダンだから2ドアクーペ&3ドアハッチバック(藤原拓海のAE86は3ドアハッチバック)のAE86とは根本的に違うが、トヨタが発売するコンパクトFRということで、『AE86の再来』と色めき立ったのだ。まぁ正しくは『ベストカー』をはじめとするクルマ雑誌が勝手に煽って読者を巻き込んだのだ。

トヨタは2012年にスバルと共同開発でコンパクトFRスポーツを登場させ、車名を86としてAE86へのオマージュをアピールしたのとは違い、トヨタサイドでは『AE86の再来』とはいっさい言っていない。

『AE86の再来』というフレーズがアルテッツァの命運を大きく左右することになってしまった。実車とイメージが乖離しすぎていたのだ。ではどんな乖離があったのか、具体的に見ていく。

トヨタが発売するFRスポーツセダンということでAE86と関連付けるのは当然の流れ
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初志貫徹できず...
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市原 信幸
市原 信幸

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