高回転型のエンジンは下がスカスカ
アルテッツァの売りは2Lで210psをマークする3S-GEエンジンだったが、NAエンジンの宿命でハイパワー化のためにはエンジンを高回転型する必要がある。RS200のエンジンは、22.0kgmの最大トルクを6400rpmという高回転域でマーク。今では低回転から高回転までフラットなトルク特製のエンジンが主流だが、当時は上は回るけど下はスカスカというスポーツエンジンも少なくなく、アルテッツァの3S-GEエンジンも低中速トルクが細かった。その影響で発進加速がダル。当時は信号待ちから発信する際に、軽自動車にも抜かれると言われていた。
運転が下手になったように感じる
アルテッツァで新開発された6MTもスポーツ走行で使う頻度の高い2~3速のギア比が離れていたので巧みにシフトチェンジしないとパワーバンドを外してしまい、加速が鈍った。具体的には1→2→3の回転落ちが大きいわりに、3→4→5→6がクロスレシオということで街中での低速走行時にはかなりギクシャクしていた。実際に筆者もアルテッツァの長期貸与車を仕事で何度も運転していたが、アルテッツァを運転するたびに「俺ってこんなに運転が下手だったっけ?」と悲しくなったものだ。これは単に下手なのだが、アルテッツァだとヒール&トゥが上手くいかなかった。
このギア比になったのは騒音規制に対応するためだったようだがかなり不評。TRDが変速比を適正化したものを販売していたが、トヨタも問題視していたようでマイチェンでファイナルのギア比が変更された。
後期型でファイナルギアを4.3に変更して対応。低速域の吹け上がりはかなりよくなったが、高速道路100km/h巡航時に6速で3000rpmを超えてしまうので、「マイチェン後のアルテッツァはうるさい」という人も。ユーザーってホントに難しい!!
ユーザー層が激変
アルテッツァは1998~1995年の7年間で約11万台を販売。年平均約1万5000台ということで決して大失敗したわけではなかった。2001年にはハッチバックともシューティングブレークとも言えるアルテッツァジータを追加。ヒットはしなかったが、個性を主張。
デビュー当初は4気筒のRS200の人気が高かった。デビュー後2週間のデータがトヨタから発表されていたが、1万200台を受注し、最も人気だったのがトップグレードのRS200の6MT、そして購入者は70%以上が30代以下という理想的なものだったが、徐々に変化し、最終的には6気筒のAS200のほうが売れ筋となった。購入者の年齢も40代以上が大半を占めるようになった。
6気筒は低速トルクがあるし、音振でもハイクォリティ。直6エンジンのフィーリングも上質で好評。そして4気筒はハイオク仕様、6気筒レギュラー仕様で、経済性にも優れていた点もあるだろう。
実際にデビューから時間が経過すると、購入年齢層は50代以上がメインとなった。これはアルテッツァがFRスポーツセダンとしての魅力を失ったことを意味しているように思えてならない。