六本木『くろきつね』
厨房では常にふたりの職人が腕をふるっている。和食と蕎麦、いずれもそれぞれの技を追求したプロだ。和食の料理長によるつまみは素材を吟味し華やかに盛り付けたお造りに、薄衣でさっくり揚げた天ぷら、さらに季節ごとの一品料理を織り交ぜて、まるで割烹のような佳肴が並ぶ。
もちろん蕎麦も負けてはいない。するりとのど越しよく打ち上げた九一の「もりそば」で軽やかに〆るって手もあるけれど、温蕎麦もいいだろう。こちらは丸抜きにさらに甘皮を足して挽いた田舎蕎麦。
温かな汁に浸った太打ちからは湯気と共に野趣あふれる香りが立ち、穀物らしいふくよかな甘みがなんとも素朴だ。本枯節の一番ダシで作るツユの澄んだ旨さにも思わずほぅっとため息がもれる。
…つづく「東京のうまい 「最強の町寿司」 ベスト7軒…高コスパ、一貫 《110円》 からで一見さん、ソロ活でも大丈夫「覆面調査隊が実食」」では、庶民価格の美味しい町の寿司店を紹介します。
『おとなの週末』2023年12月号より(※本内容は発売時のものです)