今でこそ世界で確固たる地位を築いている日本車だが、暗黒のオイルショックで牙を抜かれた1970年代、それを克服し高性能化が顕著になりイケイケ状態だった1980年代、バブル崩壊により1989年を頂点に凋落の兆しを見せた1990年代など波乱万丈の変遷をたどった。高性能や豪華さで魅了したクルマ、デザインで賛否分かれたクルマ、時代を先取りして成功したクルマ、逆にそれが仇となったクルマなどなどいろいろ。本連載は昭和40年代に生まれたオジサンによる日本車回顧録。連載第46回目に取り上げるのは2003年に発売されたマツダRX-8だ。
ロータリーの元祖はNSU
1967年にマツダはロータリーエンジンを搭載したコスモスポーツを発売。1964年にドイツの自動車メーカーのNSU(エヌ・エス・ウーと読む)がヴァンケルスパイダーを発売しているので、世界初のロータリーエンジン搭載車はこのヴァンケルスパイダーということになる。車名はロータリーエンジンの生みの親、フェリックス・ヴァンケル博士の名前に由来している。ただ市販化はされたものの、搭載されたロータリーエンジンは多くのトラブルを抱え、販売台数も2300台程度にとどまった。それに対し、コスモスポーツは世界初の量産ロータリーエンジン搭載車ということになる。
マツダだけがモノにできた
詳細は割愛するが、マツダがロータリーエンジンに着目したのは、自社の技術力をアピールするためには、他メーカーと同じことをやっていてはダメ、新たなものにチャレンジすることが重要という考えがあったのは間違いない。
ロータリーエンジンに可能性を感じていたのはマツダだけではなく、NSUはヴァンケルエンジン(ロータリーエンジン)に関して20社を超えるメーカーとライセンス契約。マツダも技術提携し、その後ロータリーエンジンの販売権を取得してコスモスポーツ販売開始後、1970年代にかけてロータリー攻勢をかける。元祖NSU以外では、マツダとシトロエンのみロータリーエンジン搭載車を市販。日産は2代目シルビアに搭載を予定しながら断念したし、メルセデスベンツも開発はしていたが市販モデルは登場させていない。
ロータリーエンジンは、『ドイツ生まれの広島育ち』で、実質モノにできたのは世界で唯一マツダだけというのがマツダファンに重要なポイントでよりどころでもある。
マツダロータリー搭載車RXの系譜
マツダのロータリー搭載車といえば”RX”の系譜だろう。このRXはR(ロータリー)、X(未知なるもの→未来を象徴)を組み合わせたもので、もともとは輸出モデルの名称として使われていた。RX-2(カペラロータリー)、RX-3(サバンナロータリー)、RX-4(ルーチェロータリー)、RX-5(コスモAPロータリー)といった具合だ。日本で正式にRXが車名として使われたのはRX-7と今回取り上げるRX-8ということになる。ちなみにサバンナはレースでサバンナRX-3という名称を使ったため、日本でもRX-3として浸透している。