『松屋』が1週間の期間限定で販売する新作『デビルチキン』(税込850円)は、スリランカ大使館の協力を得て開発されたホットでスパイシーな味。「本物の味」を志向しながらも、日本の米との親和性を重視して開発されたという自信作をさっそくレポートしてみたい。
チリとトマトをベースに唐辛子が浮くソースは、辛すぎないぎりぎりの辛さ。大ぶりのチキンは噛みしめる喜びを感じさせる!
最初に見たとき印象に残るのは、青唐辛子にも似たピーマンの緑。そして散らされた赤唐辛子の破片だ。これは辛いぞ、と覚悟した。
しかし、ソースをスプーンの半分ほど舐めてみると、思ったほどではない。いや、かなり辛いのだが、辛すぎるほどではない。辛いだけではない奥行きもある。
これは大丈夫そうだ、とチキンを頬張る。弾力と厚みがあるので、噛み応えは充分。皿の中にはこの鶏肉がごろごろと転がっており、かなりのボリュームがある。女性の記者は食べきるのに苦労するほどで、食の細い人は持ち帰りで食べたほうがいいかもしれない。
具材としては、チキンの他にピーマン、タマネギといったもの。特別に目を引く食材があるわけではなく、組み合わせで魅力を引き出している。特にピーマンのこりこりした食感とほのかな苦味は絶妙で、チキンの弾力と旨味が引き立つ。ピーマンは彩りだけの存在ではない。
「普通に旨いんですけど」と編集者と囁きあいながら食べ進めると、やはりけっこうな量だ。外食産業にもインフレの波を感じる昨今だが、味だけでなく量も確保する松屋の方針が感じられるボリューム感だ。
しかも、食べてみての印象は大ライスのほうが相応しい。米とよく合う辛さになっている。普通ライスを頼んだが、最後の方は「もうちょっと米が欲しいな」と感じながら食べていた。チキンとソースに相応しい黄金比率は大ライスだと断言しよう。
こんなに美味しいのに、なぜ試験販売? 全国で食べられるのはいつ?
今回の試食の現場には松屋の責任者も立ち会っているので、不躾ながら疑問点を率直にぶつけてみた。なぜ短期間の試験販売なのか。調達が難しいスパイスでも入っているのか。
「いえ、そうではないのです。全国にご提供する以上、どこでも同じ味が確保されなければなりません。適切な数が滞りなくお客様に提供される必要もあります。加工や流通網も含めた確認を行い、3ヶ月から6ヶ月ほどで大々的に提供できる体制がとれます」
夏に相応しい辛さだと思うので、夏に間に合わせてほしいですね。流通の難しさというのは具体的にどのあたりですか?
「今回のデビルチキンですと、難しいのはピーマンです。日持ちしないのです。ピーマンの鮮度は味に関わる重要な要素ですので、我々も気を遣っています」
とのこと。やはりピーマンが要なのだ。限定販売の店舗が近くにある人は、このあたりにも注目しながら味わってみてほしい。