純鶏ラーメンは澄み切った淡麗スープ
「中華そば坂本」の最大の特徴は、タレ、スープ、チャーシュー、脂と、すべて「鶏」だけで作られていることです。しかも、使用する鶏は短期間で出荷する「若鶏」とは違い、のびのびと育てられた「親鶏」だけを使用します。
鶏ガラをじっくり煮込みながらも、澄み切った淡麗スープ、ブレンドした醤油で鶏肉を煮込んだタレ、その煮込んだ鶏肉を使った鶏チャーシュー、そして上質な鶏油(チーユ)……と、まさに“純鶏ラーメン”なのです。
そして、その味を引き立てるのが、麺とシンプルな具材です。麺は笠岡市内の大半のお店が仕入れている丸新麺業の低加水(小麦に加える水が少なめ)の中細ストレート麺。この麺でなければ一体感が味わえないそうです。
具材に使用されるのは、「かしわ」と呼ばれる鶏チャーシュー。育成日数が1000日以上の親鶏を使用するため、若鶏にはないコリコリとした食感と奥深い味わいなのです。
また、笠岡ラーメンの特徴ともいえるのがネギ。「中華そば坂本」では、ざっくりと斜めに切った青ネギがたっぷりのります。そして太めの拍子木型に切られたメンマ。少し柔らかめの麺と合わせて食べると、実においしいのです。
ずっと残ってほしいラーメン文化
二代目店主の坂本英喜さんは、「中華そば坂本」のラーメンについて、「教えてほしい」と言われれば、何一つ隠すことなく教えるともうかがいます。その理由について坂本さんは、「店が増えて、笠岡ラーメンが注目されれば、私のお店にもお客さまは来てくれるでしょう。地域全体が潤えばいいんです」と語る、地元愛の詰まった方です。「中華そば坂本」の味は、シンプルではありますが、あとを引く味わいです。そして、笠岡ラーメンを支えている丸新麺業の麺は本当においしく、“純鶏スープ”にマッチします。丸新麺業の伊藤社長からは、その麺へのこだわりもうかがっており、笠岡ラーメンの発展にはこうした製麺所の力も大きいと思います。
最近では首都圏でも、笠岡ラーメンをインスパイアしたお店が増えてきました。これからもずっと残ってほしいラーメン文化です。
■中華そば 坂本
[住所]岡山県笠岡市中央町34-9