国道273号線を自転車で走行中、突然、外国の方からSOS!
糠平源泉郷には、東大雪の山々に生きる動植物など、雄大な自然の資料が展示されている「ひがし大雪自然館」があります。令和6(2024)年9月、「ひがし大雪自然館」で自転車を借りて十勝三股方面へ向かいました。
この士幌線に沿って、ひがし大雪の山々の中を走る国道273号線は、「トカプチ400」として日本を代表するナショナルサイクルロードと国土交通省から認定され、数々の人気イベントが行われています。
この道を気持ちよく走っていた時、突然、路肩に立っていた外国の方から「止まってください!」と声を掛けられました。ご夫婦とお子さんでしたが、よく見ると、奥様の自転車の後輪に大きな釘が刺さりパンクしています。
助けてほしいとのお願いに、助けを呼ぼうとしてもこの山中では、携帯の電波はまったく届きません。どうしたらよいのか戸惑いましたが、2023年にも自転車でこの道を走っていたので、ここから1.5km先に幌加除雪ステーションがあり、そこにパトロール隊が在中している事を思い出しました!
熊が出るところだからゆっくりしてはいられないし、そうだ、私一人でステーションへ行って助けを求めよう!自分が外国に行って山中で自転車がパンクしたら!と思うと、急な登り坂道でも不思議なくらい、ペダルを漕ぐ足に力が入りました。除雪ステーションに着くと、すぐに救助を依頼。その後、全速力で外国の方の所に戻りました。
程なくしてパトロール隊の車が到着したので、どこのお国の方かもわからないまま、パトロール隊の方にお礼を申し上げてその場を後にしました。
安心したのも束の間、その後が大変でした。幌加駅跡を過ぎて十勝三股方面への坂道を自転車で登っていると、左足でペダルを踏みこむ度、左膝周囲に痛みがあります。先程、無理をして自転車を漕いだのが影響したようです!三国峠への坂道を登っていると、どんどん痛みが増し、とうとう、左足では普通に踏み込めなくなってしまいました。晴天で美しい木々の中、爽快に走るはずが膝の痛みで参った!人助けをしたのになんで!と心の中で叫んだものです。そんな中、嬉しい事がありました!
やっとの事で三国峠まで登り、一休みしてから糠平へ帰る下り道の途中、パンクで困っていた外国の家族とすれ違ったのです。よく見ると奥様の自転車の後輪は修理されてパンパンに膨らんでいます!ご主人は大きく手を挙げてくださり、奥様も大きな声で「ありがとうございました」と仰られました。
良かった!この時は膝の痛みを忘れました!私は人と人を繋げただけですが、実際に自転車屋さんを手配してくださった方、すぐに修理をしてくださった自転車屋さんには感謝の気持ちで一杯になりました。
ひがし大雪自然館で自転車を返却した時、担当の方から、上士幌にある自転車屋さんが車で来て修理をされたのでしょうと伺いました。
余談ですが、この話には続きがあり、東京へ戻ってから驚いた事があります。
私は長年、東京の青山一丁目にある内科クリニックの院長先生にお世話になっていますが、その先生は帯広市の出身です。今回の外国の方との事を話した所、なんと、院長先生の地元の同級生が、上士幌で自転車屋をしているとの事!十勝三股と青山一丁目がこの話で繋がった!とビックリ。
登録有形文化財の旧国鉄士幌線幌加駅プラットホーム
糠平駅と十勝三股駅間にある幌加駅は、現在、北海道鉄道遺産になっており、プラットホームと線路などは当時のまま残されています。今もポイントは動かす事が出来るので多くの方がチャレンジしています。駅名標はレプリカです。