日本酒の奥深さがわかる各賞
「Super Premium」部門は、特定名称酒に限らず、720mlで小売価格が1万円以上、1800mlで1万5千円(共に外税)以上の清酒が出品。出品数は71点で、GOLDは3点、SILVERは4点、BRONZEは7点が選ばれた。
1位「極聖 純米大吟醸 天下至聖」(宮下酒造・岡山県)
2位「田酒 純米大吟醸 PREMIUM」(西田酒造店・青森県)
3位「くどき上手 命 斗瓶囲大吟醸」(亀の井酒造・山形県)
宮下酒造東京営業所の山野万理子所長は「このお酒を造るにあたり、いろいろなご支援をいただいている方々や一緒に働いてくれているすべてのスタッフたちの努力の賜物で受賞できたと思いますので、まずは皆様に感謝いたします。本日はこうした華やかな舞台でこのような賞をいただけると思っていませんでした。本当に驚きと共に今までやってきたことを形として認めてくださったことが本当にうれしく思います」と話してくれた。
「極聖(きわみひじり) 純米大吟醸 天下至聖(てんかのしせい)」は、720mlで1万6500円(税込)。岡山県産雄町米を最新鋭の精米機により、精米歩合20%という極限精米に挑戦したもの。雄町米としては世界初となる試みで、雑味のもととなるタンパク質や脂質は一切取り除かれ、新境地の味わいに仕上がっているのだそう。中国・春秋時代の思想家、孔子の孫の子思のものとされる言葉から「天下至聖」と名付けられた。「天にも並ぶ最高の清酒」という意味合いの至高の一献、いただいてみたいものだ。
「海外出品酒」部門の出品基準は、日本以外の国で製造されていること。出品数は10点で、GOLD1点が選ばれた。
1位 DASSAI BLUE TYPE23(DASSAI USA INC.・アメリカ)
受賞した獺祭の桜井一宏代表取締役社長は海外での酒造りについて苦労を明かす。
「現地のメンバーは言葉もわからないような状態で海外に出て、必死に戦ってくれており、この表彰はとても励みになります。日本メンバーが3名、アメリカメンバーが7名で、米も水もアーカンソー州のものを使い、日本と同じように造っていますが環境がまるで違うので、微調整を繰り返しています。アメリカでは、日本酒は飲んだら美味しいけれど熱燗がメインと思われている方がほとんどなので、そうした中でお酒を造っていくのはやりがいがあります」
「モダンナチュラル」部門は、純米酒かつ生酛、山廃、菩提酛造りの清酒が対象。精米歩合は問わない。2023年7月1日〜2024年6月30日および2024年7月1日〜2025年6月30日の期間内に醸造された市販清酒のみ出品可能。出品数は115点で、GOLDは5点、SILVERは7点、BRONZEは11点が選ばれた。
1位「田酒(でんしゅ) 純米大吟醸 山廃」(西田酒造店・青森県)
2位「雨降 MIZUMOTO 愛山」(吉川醸造・神奈川県)
3位「松の司 純米大吟醸 AZOLLA50」(松瀬酒造・滋賀県)
西田酒造店の西田司取締役社長も喜びをかみしめた。
「このコンペティションは十数年の歴史がありますが、実は初めて出品し、こうした賞をいただけて本当にありがたいです。田酒は昨年が発売50周年にあたる年でした。田酒自体は特別純米と山廃純米を造り続けてきた歴史があります。私どもの山廃純米大吟醸は、非常にすっきりとした綺麗な酸が出ているところが特徴で、これが本当の山廃だという思いがあります。そのため、あえてこの部門にエントリーしましたが、それが認められてうれしいです。今は常に通過点であり、来年はさらに良くなっていくという思いを社員全員で抱いて酒造りをしています」