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BLがホンダに高級車の開発を持ち掛けた

トライアンフアクレイムの成功に気をよくしたBLはアッパーミドルのエグゼクティブカーの開発をホンダに持ち掛け、高級車造りを学べるチャンスと見たホンダは1983年に両メーカー間で契約締結。この契約は開発から生産までホンダとBL両社で行うというもので、その結果誕生したのが初代レジェンド(1985年発売)/ローバー800(1986年発売)なのだ。

ホンダ初の高級セダンとなった初代レジェンド

初代シビックで成功を収めた後、日本ではデートカーの先駆けとなる2代目プレリュードの人気で勢いに乗っていたホンダ。上級モデルのラインナップを切望していたなか、初代レジェンドはホンダのフラッグシップモデルとして登場したのだが、発案自体はBLだったというのは興味深い話だ。

初代レジェンドの開発コードは『XX』で、日本の栃木とイギリスのコベントリーをお互いが行き来しながら共同開発が進められた。ホンダはレジェンドの開発において本木目パネルの使い方や高級車の足回りのセッティングのノウハウをBLから教え込まれたという。

レジェンドとコンポーネントを共用するローバー800

異例の開発スピード

ホンダとBLの共同開発によって誕生した初代レジェンドは、5ナンバーサイズ、3ナンバーサイズの両方を設定していて、3ナンバーボディは全長4810×全幅1735(5ナンバーボディは1695mm)×全高1390mmで、ホイールベースは2760mm。当時のホンダラインナップでは最大の4ドアセダンで、トヨタマークII、日産ローレルの2Lクラス小型上級セダン、トヨタクラウン、日産セドリック/グロリアというアッパークラスがライバルとなる。ホンダは小型車ではトヨタ、日産に対抗してきたが、その上のクラスで初のチャレンジとなった。

シャシー、エンジンなどすべて新開発となっているが、前述のとおり開発がスタートしたのが1983年で、デビューが1985年ということで当時の新車開発は5~6年かかるといわれていたことを考えると異例の開発スピードに驚かされる。

初代レジェンドのイメージスケッチ

FFの高級車はあり得ない!?

初代レジェンドはトヨタ、日産のライバルの駆動方式がFR(後輪駆動)なのに対しFF(前輪駆動)で登場。よくも悪くもこの点は議論の対象となっていた。何しろ今以上に高級車=FRという概念が定着していた。

嘆声ではあるが少々地味に見える初代レジェンド

世界を見渡しても、メルセデスベンツ、BMWの高級セダンは例外なくFRだったし、これはトヨタ、日産についてもしかり。FFの高級車といえば2代目になってFF化されたキャデラックセビル(1980~1985年)が代表格。そのほかアウディはFF&FFベースの4WDという独自の世界観を持っていたが、初代レジェンドがデビューした頃は今のようなプレミアムメーカーといったイメージは薄かった。

ホンダがレジェンドをFFで登場させたのはFFありきではなく、高級車に必須の静粛性、広くてフラットな室内スペース、空力を追求した低いボンネット(プレリュードと共通する概念)などを実現させるにはFFがベストと判断したため。しかし当然ながら賛否はあった。

どっしり感のあるリアは高級セダンの証
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デザインは地味でカッコ悪い!?
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市原 信幸
市原 信幸

市原 信幸

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