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デザインは地味でカッコ悪い!?

低いボンネットの話題が出たところで、エクステリアデザインについて触れておく。初代レジェンドのデザインコンセプトは、『”走りのフォルム”と”風格のフォルム”の調和と融合』というもの。豪華さを追うのではなく、シンプルな中に本質を求めクォリティを高めていったという。

高級感を演出するためにツートンも用意されていた

レジェンドがデビューした1985年といえばハイソカーブームで白い4ドアハードトップが大流行していた。それに対し新型レジェンドは4ドアハードトップではなく、窓枠付きの純然たるセダンボディ。4ドアハードトップが受けたのは高級感とスポーティ感を両立していたためだが、レジェンドはそれとは真逆。

徳大寺有恒御大をはじめ、自動車評論家のレジェンドのデザインへの評価はヨーロピアンテイストをうまくまとめている、と好評だったが、当時19歳だった筆者にしてみれば、どこがヨーロピアンテイストかもわからなかったし地味でお世辞にもカッコいいと思えなかった。正直ただのおやじセダンにしか映らなかった。当時を知る人は同じような感想を持った人は少なくないと思う。

3ナンバー専用ボディ(左)はバンパーが大きく長い

新開発のV6エンジンはホンダらしさ満点

パワーユニットも新開発。ホンダ初のV6エンジンは、2Lと2.5Lの排気量が用意され、当時のホンダが好んで採用していた1カム4バルブ。シングルカムのためSOHCとなるが、4つのバルブの制御は緻密で、下手なDOHCよりも高性能だった。

実際にその回転フィールは2.5Lの排気量とは思えないほど軽やかで、VTECエンジンのような突き抜け感はないものの、高回転まで一気に吹き上がる気持ちよさはさすがホンダエンジンというもの。

バンク角90度のV6SOHCは重量配分を考慮して搭載されている

で、この2種類の排気量のV6エンジンだが燃費性能に優れていたのも特筆。当時は燃費が悪いことがネガにならなかった時代だったが、2Lオーバーの高級セダンながら街乗りで10km/Lを超えるというのは驚異的だった。

それからV6エンジンといえば、当時のF1。ホンダは1983年から第2期F1活動を開始(1992年まで)していたが、その時猛威を振るっていたのがV6ターボで、ホンダのV6は特別な存在だったのも付け加えておく。

そのV6ターボのイメージをアピールするウイングターボが1988年に追加されたが、笛吹けど踊らず、販売面に貢献することはなかったのは残念。

FF車だが等長ドライブシャフトによりトルクステアを解消

本物志向のインテリア

初代レジェンドは前述のとおり、BLから高級車のノウハウを叩き込まれていたのだが、それが如実に表れているのがインテリアだ。高級車としての静粛性、快適性を重視したものになっている。そしてホンダの人のスペースを最大限、メカニズムのスペースは最小限というMM思想を徹底し、快適な空間を作り出している。

天童木工製の本木目パネルを採用

インパネのデザインはスポーティ感が強く、これは快適性だけでなくホンダのDNAである走る楽しさも忘れていないことの証だろう。それは高級車と謳いながらも、5速MTが用意されていることからもわかる。

その一方で上級モデルの木目パネルは天童木工製を採用。当時の日本車で本木目パネルは珍しく、木目調パネルが一般的だったなか画期的。本物志向をアピールするだけある。本木目パネルは小さな高級車に挑んだコンチェルトでも使われていたが、初代レジェンドがきっかけだった。

さらにシートも抜かりなく、100%ウールモケットシートが採用されていたりとホンダの高級車としての装備は充実していた。

100%ウールモケットシートを採用。FFゆえにリアのスペースは広い
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FFのネガを潰していた
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市原 信幸
市原 信幸

市原 信幸

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