若菜駅跡――草に眠るホーム
今回、夕張石炭博物館を訪ねた時、私が持参した写真をご覧になられた館長さんが、「この写真は若菜駅ですね。今もホームだけは残っていますよ」と教えてくださいました。これは、とても嬉しいサプライズで、早速、鹿の谷駅から遊歩道になっている夕張鉄道跡を歩きました。
雑木林を抜けると、若菜駅跡のホームが草に埋もれながらも確かに残っていて、草に覆われたコンクリート片に触れると、確かに“駅だった”という温もりを感じることができました。腰の高さまで伸びた草をかき分け、そのホームに上がると、半世紀前に蒸気機関車を見送ったあの日の自分と重なるような感覚がありました。
白黒の写真は、若菜駅を出発した夕張鉄道の12号機です。カラー写真は白黒写真を撮影したあたりから撮った現在の写真です。赤と白の車止めのポールが若菜駅ホームの先端辺りです。この二つの写真、50年の年月が経っています。目の前に広がるのは緑に包まれた静寂ですが、2枚の写真を見ると、過去と現在が重なり合い、時の厚みを強く感じました。
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