おじじさまとおばばさまに、小さな孫たちの顔を見せに伺う美智子さま
昭和のころ、皇太子殿下(今の上皇陛下)と美智子さまは、毎週一度、子どもたちを連れて昭和天皇と良子さまをお訪ねになり、食事をともにされた。週一度のご参内は、昭和天皇が崩御されたのちも、良子さまが亡くなられるまで続けられた。
当時、紀宮さま(今の黒田清子さん)は、1997(平成9)年のお誕生日に際しての文書回答でこう述べられている。
「吹上御所への参殿は、以前は週一度の定例として伺っておりました。小さい子どもを連れてのご参殿は、はらはらなさることも多かったと思われますが、両陛下がいつもおうれしそうに上がられ、お話になっているご様子を拝見して、「両陛下」というお立場への尊敬と若干の緊張を抱きつつも、おじじさま、おばばさまに対して、子どもらしくお親しみ申し上げ、おいたわり申し上げる気持ちを自然に持つことができました」
昭和天皇と良子さまにとって、小さな孫たちの顔が見られる食事会は、楽しいひとときであったことだろう。「いつまでもお健やかに」との願いを込めた食事会のかいがあってか、昭和天皇は87歳、良子さまは97歳のご長寿をまっとうされたのである。
古来、菊の文様は吉祥のしるしとされている。天皇陛下と天皇家を表す紋章は、誰もが知る「菊の御紋」である。(連載「天皇家の食卓」第42回)
※トップ画像は、(C)JMPA
参考文献:『宮中歳時記』(入江相政編、小学館文庫)、『宮中 季節のお料理』(宮内庁監修、扶桑社)、『美智子さま「こころの旅路」(渡辺みどり著、大和書房)、『皇后美智子さま すべては微笑みとともに』(渡辺みどり著、平凡社)、『枕草子(上)』(酒井順子訳、河出文庫)
文/高木香織
たかぎ・かおり。出版社勤務を経て編集・文筆業。皇室や王室の本を多く手掛ける。書籍の編集・編集協力に『美智子さま マナーとお言葉の流儀』『美智子さまから眞子さま佳子さまへ プリンセスの育て方』(ともにこう書房)、『美智子さまに学ぶエレガンス』(学研プラス)、『美智子さま あの日あのとき』、『日めくり31日カレンダー 永遠に伝えたい美智子さまのお心』『ローマ法王の言葉』(すべて講談社)、『美智子さま いのちの旅―未来へー』(講談社ビーシー/講談社)など。著書に『後期高齢者医療がよくわかる』(共著/リヨン社)、『ママが守る! 家庭の新型インフルエンザ対策』(講談社)。
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