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ランサーと別物に仕上げられたデザイン

ランサーセレステは前述のとおりランサー2ドアセダンがベースとなっているが、まったく別物に仕上げられている。両車は共通項が少なくイメージが違うため、当初予定していた開発費を大幅に上回っていることは想像に難くない。

真横から見た時にロングノーズが際立っていてカッコいい。さらに当時としては斬新だった逆L字型のリアコンビもセレステの大きな特徴だ。セレステは前期型が丸目2灯、後期型が角目2灯に変更された精悍になったと好評だったが、リアコンビが逆L字型から横タイプに変更されたのは賛否あった。筆者の個人的な感想としてはカッコよさ、質感の高さという点では後期型だが、個性が薄れた感は否めない。

丸みを帯びて味のある初代ランサーだが、実用重視のためデザインは地味

二村氏が苦労したというベースの平坦なボディサイドだが、上下を分断するライン、エッジが加えられてスポーティな仕上げを見せる。そしてサイドデザインを特徴づけていたのがリアクォーターガーニッシュ。これは装飾のためのダミーではなく下にはガラスが埋め込まれていて、シースルー状態となっていた。

スパッと切り落としたリアエンド、なだらかな傾斜のリアハッチなどもスポーティさをうまく演出していた。

ロングノーズ、なだらかなルーフラインなど今見ても美しいランサーセレステ。リアクォーターガーニッシュがデザイン上のいいアクセントとなっている

排ガス規制との闘い

ランサーセレステのエンジンは1.4Lと1.6Lの2種類の直4SOHC。1.4ℓは92psのワンスペックだったが、1.6Lはシングルキャブ仕様(100ps)、ツインキャブ仕様(110ps)、排ガス再燃焼装置のサーマルリアクタ+EGRを組み合わせた仕様(92ps)の3スペックが用意されていた。

セレステのデビュー時には排ガス規制が強化されていて、デビューの8カ月後に全車が昭和51年排ガス規制に適合したが、その代償として1.4Lエンジンは92ps→85ps、1.6Lはシングルキャブ仕様が100ps→92ps、ツインキャブ仕様が110ps→100psと軒並みパワーダウンを強いられた。しかし、これはセレステに限った話ではなく、日本車の多くが排ガス規制に適合させるためにスペックダウンしていた。この時期の日本車が『牙を抜かれた』と表現されるゆえんだ。

この1.6L、直4エンジンは1976年に三菱の技術の結晶でありポルシェにも技術供与されたサイレントシャフト付きのサターン80に変更され、静粛性が大幅にアップ。さらに当時世界で最も厳しいと言われた昭和53年排ガス規制に対し三菱は1977年にMCA-JETと命名した新燃焼方式を開発し適合させた。

デビュー当時の最強グレードは1.6Lのツインキャブ仕様を搭載する1600GSRだったが、後にGSRと同等の装備が与えられた1600GTが追加された。

そのほかエンジンでは、1979年に輸出専用に用意されていた2L、直4SOHCを追加。

1978年に北米用の2Lエンジンを搭載した2000GTを追加

スポーティな6連メーター

インパネはギャランGTOに似たデザインに仕上げられている。

スポーティな丸を縁取ったデザインの6連メーター(ギャランGTOは7連)は、右からタコメーター(6000rpmからレッドゾーン)、スピードメーター(180km/hスケール)、燃料計、水温系、電流計、油圧計が一列に並んでいるのがスポーティ。

スポーティでどことなくクラシカルなランサーセレステのインパネ

インパネ下には操作系が配置され、ヒーター操作スイッチ、外気切り替えスイッチ、リアデフォッガースイッチ、シガーライターが並ぶ。そしてその下に時計、ラジオが装着されていて1970年代のクルマとしては少々クラシカルなデザインだが、逆にそれが好き者の心をつかんだ。

後期モデルではインパネに金属調のパネルが装着されたほか、オーディオの充実(カセットデッキの追加)によりセンターコンソールのデザインが大幅に変更されている。

後期モデルはパネル類の変更のほかセンターコンソールの操作系などの配置なども変更を受けている
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セレステが海外ラリーに投入されなかった理由
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市原 信幸
市原 信幸

市原 信幸

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