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「酢」は、世界最古の発酵調味料のひとつとされるのをご存知ですか?造り方はさまざまありまして、数時間で完成する工業製品から、じっくり丁寧に時間をかけて醸(かも)して寝かせる造りまで、いろいろ。今回は中でもこだわりの酢を中心に蔵ルポから各種製品までご紹介します。今回は前編です。

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麹作りから酒造り醸して寝かせて静かに“時”を待つ こだわりの酢造り

山梨県都留(つる)市にある『戸塚醸造店』は、関東で唯一昔ながらの“静置発酵(せいちはっこう)”と呼ばれる酢造りを行う蔵。その代表米酢「心の酢」の造りを見学に行ってきました。

原料となる酒造りから手間ひまかけて“育てる”蔵

「心の酢」を初めて口にしたときは驚いた。酸味はあるのにツーンとせずに、香りとともにまろやかに広がるのだ。それは酢酸菌の力を活かして時間も手間もかけて生まれる味わいなのだという。大量生産ではなく、少量ずつ造られるお酢の蔵は国内でも数十軒と聞く。そのお酢造りを教えてもらうべく、山梨県都留市の『戸塚醸造店』を訪ねた。

「酢造りはまずお酒造りから。お酢の原料には米と麹、酵母しか使いません」と出迎えてくれた代表・戸塚治夫さんは語る。お酒造りから始めるのではなくアルコールを仕入れて添加する場合もあるが、戸塚さんは米酢としての表示ができる基準の4倍にもあたる有機栽培コシヒカリを使って元となる酒造りを行う。

お酢造りを熱く語る『戸塚醸造店』代表の戸塚治夫さん

まずは蒸し米で米麹の培養をし、出来上がった米麹に水と新たな蒸し米を加える。そして毎日2回かき混ぜることで、蒸し米のでんぷんからは糖が生まれ、さらに糖は酵母によってアルコールになる。これが酢の原料「酢もともろみ」となる。

日本酒として造るのであればアルコール度数は15度前後を目指すが、お酢はそれを大きく上回る18度ほどまで発酵させる。アルコール分が多ければ、酢酸発酵の量も増やせるためだ。

酢もともろみは1日2回櫂でかき混ぜ、微生物の働きを促す。発酵により生まれる炭酸ガスを逃がす役割もある。シュワシュワと鳴る発泡音を「さざ波のような音。ぼーっと聞いていると癒されます」と戸塚さん
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約3か月かけて行う、昔ながらの“静置発酵”
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『おとなの週末』編集部
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