後輪駆動の2WDと4WDをラインナップ
駆動方式は2WDの後輪駆動と4WDの2タイプで、グレードも簡潔に後輪駆動がXR、4WDがVRで、それぞれ装備の違いによりIとIIが用意された(IIのほうが装備充実)。
4WDシステムは三菱自慢のイージーセレクト4WDで、80km/h以下なら2Hと4Hの切り替えができる優れモノ。2H、4H、4Lの3つが切り替え可能なトランスファーはパジェロミニ専用だった。
ライバルのジムニーは昔ながらの硬派なパートタイム4WDだったため、トランスファー付きで本格的なオフロード走行が可能なうえ扱いやすく利便性が高いパジェロミニのほうが万人受けしたのは言うまでもない。
街中とオフロードの乗り心地を両立
サスペンションについては、ジムニーが本格的なオフロード走行に特化した強靭なリーフスプリング+リジットアクスル、いわゆるリーフリジットだったのに対し、パジェロミニはフロントがストラット、リアが5リンクで前後コイルスプリングを採用。この足回りを見ただけで両車のキャラクターが如実に出ている。
パジェロミニは街中での快適性も充分考慮されていて、実際に誰もが普段のアシとして使って不満のないモデルになっていた。
最低地上高は195mmを確保していたので、オフロードで軟弱ということはない。この点でもパジェロの名を名乗るにふさわしい資質を備えていたと言える。
無骨さが皆無の室内は快適
初代パジェロミニのインテリアを改めて見返してみると、当時の軽自動車としてはしっかりと作られていたことがわかる。当時はそれを感じることはあまりなかったが……。オフロードを走れるクロカンタイプ軽自動車ながら無骨さは皆無で、操作性も優れていた。インパネ回りではブラックアウトされたセンターコンソールがシックで、最上級モデルにはデジタルで方位、高度、外気温を表示するマルチメーターが標準装備されていた。今のSUVに近い感覚でインパネ回りがデザインされていたその先見性に驚く。
シートは当時の日本車はフワフワした座面のモデルが多かったなか、適度な硬さのある座面で軽自動車ながらロングドライブでも快適に過ごせたのを覚えている。リアシートはお世辞にも広いとは言えないが、フットスペースがしっかりと確保されていた。その代償としてリアシート使用時にはラゲッジが激狭だった。4人乗車時には荷物スペースは最小限だったが、これはアルファードクラスで3列フルに使った時も同じ。2人乗車時にリアシートを倒せば、不満のないスペースが出現。軽自動車の乗車人数は2人が主流だったこともあり三菱も割り切っていたのだと思う。





