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時代を先取りした装備

今でこそ日本車は安全装備が充実しているのが当たり前だが、当時は安全に対するニーズ、注目度が高まっていたいわば過渡期。そんな時期にあってレパードJ.フェリーは安全装備の充実に力を入れていて、日本車で初めて助手席エアバッグを標準装備。

またアスベストの全廃、リサイクル可能な新開発ソフトPP材の使用、エアコンの冷媒に特定フロンを使用しないオゾンセーフフルオートエアコンの全車採用など、環境への配慮にも積極的だった。

日産の新しい高級車は時代を先取りしていたクルマでもあった。

トップグレードにはシーマ譲りの4.1L、V8エンジンを搭載

チャレンジングなデザインの代償は大きい

日産はインフィニティブランドのフラッグシップのQ45を日本でも販売。ライバルであるトヨタはレクサスLS400をセルシオとして日本で販売。奇しくも両車のデビューはほぼ同じ時期となったがその販売は大きく差がついてしまった。源流主義を徹底的に突き詰めて新たな高級車像を構築してそれが受け入れられたLS&セルシオに対し、インフィニティQ45も走りの面での評価が高かったにも関わらず販売面で苦戦してしまったのはそのエクステリアデザインに原因があるとされていた。

インフィニティブランドのフラッグシップのQ45はグリルレスの顔で失敗

高級車としてわかりやすい形をしたLS&セルシオに対し、Q45のデザイン(特にグリルレスのフロントマスク)はユーザーに受け入れられなかったのだ。

残念ながら日産はレパードJ.フェリーでも同じ過ちを犯してしまったということになる。万人受けするデザインがいいわけではない。しかしチャレンジングなデザインは失敗した時の代償は大きい。

チャレンジングなデザインは失敗した時の代償が大きい

北米向けのデザインのクルマの苦悩

レパードJ.フェリーの日本での月販目標台数は3000台と発表されていたが、ほとんどその目標をクリアすることなく1996年2月に4代目レパードに譲る形で生産終了。モデルライフは4年弱で、その間の販売台数は約7500台と低迷。月販目標から考えるとわずか2カ月半分となる。

日本では不人気だったが北米ではコンスタントな人気を誇ったJ.フェリー

しかしレパードの名誉のために言っておくと、メインマーケットの北米ではコンスタントな販売台数をマークし、北米でのインフィニティブランドの認知に大きく貢献。クルマ界にはアメリカ人向けにデザインされたクルマは日本では売れない、という定説があるが、レパードJ.フェリーはその典型と言えるだろう。

初代、2代目のライバルであったソアラがアメリカ志向のデザインを採用した3代目が大不評で自滅したことで、日産はレパード大躍進のチャンスを自らふいにしてしまったのは残念過ぎた。

3代目トヨタソアラは北米向けのデザインを採用して日本で自滅

【日産レパードJフェリータイプX主要諸元】
全長:4880mm
全幅:1770mm
全高:1390mm
ホイールベース:2760mm
車両重量:1650kg
エンジン:4130cc、V型8気筒DOHC
最高出力:270ps/6000rpm
最大トルク:37.8kgm/4400rpm
価格:469万円
※1992年6月デビュー時のスペック

このアングルからでもヘビーなたれ尻が丸わかり

【豆知識】
インフィニティは1989年に日産の北米向け高級ブランドとして立ち上げられた。ライバルメーカーであるホンダのアキュラは1986年、トヨタのレクサスは1989年にそれぞれ設立。フラッグシップのQ45からスタートし、1990年代はM30(2代目レパード)、J30(レパードJ.フェリー)、I30(2代目セフィーロ)などのモデルが販売された。一時インフィニティの日本導入が予定されていたが景気の悪化などにより撤回となっている。欧州市場から撤退し、現在のメインマーケットは北米、中国となっている。

2代目レパードはインフィニティM30として北米で販売された

市原信幸
1966年、広島県生まれのかに座。この世代の例にもれず小学生の時に池沢早人師(旧ペンネームは池沢さとし)先生の漫画『サーキットの狼』(『週刊少年ジャンプ』に1975~1979年連載)に端を発するスーパーカーブームを経験。ブームが去った後もクルマ濃度は薄まるどころか増すばかり。大学入学時に上京し、新卒で三推社(現講談社ビーシー)に入社。以後、30年近く『ベストカー』の編集に携わる。

写真/NISSAN、TOYOTA、FERRARI

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市原 信幸
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