現役の“跳開式”鉄道可動橋
三重県にあるJR関西本線の四日市駅からおよそ1.5km、徒歩約15分の地点には、日本で唯一“現役”として活躍する鉄道可動橋が存在する。その名は「末広橋梁」。四日市市の末広町と千歳町の間にある千歳運河に架かるこの鉄道橋は、2026(令和8)年12月で建造から95年を迎える。設計は言うまでもなく、山本工務所を率いた山本卯太郎氏で、施工は鉄道省(→のちの国鉄→現JR)が行ない、山本氏が橋梁技術を駆使した代表作としても高く評価される。
別名「旧四日市港駅鉄道橋」とも呼ばれ、かつては”四日市港線”と呼ばれるJR関西本線の貨物支線が通っていた。しかし現在は、この貨物支線は書類上では廃止されたものの、その代わりに四日市駅の「側線(引き込み線)」という扱いで機能は維持され、この末広橋梁を含む区間(四日市駅~旧四日市港駅)には、日に3~5往復の貨物列車が運行される。
末広橋梁のある末広町と千歳町は、1929(昭和4)年から1936(昭和11)年に行われた四日市港修築事業(第2期工事)により埋め立てられた土地で、末広橋梁もこの時に架橋されたものだ。橋の全長は57.98m、幅4.1mからなる5つの橋桁(コンクリート桁1基、鉄製プレートガーター桁4基)により構成される単線の鉄道橋である。
四日市駅側から橋桁1連目がコンクリート桁(跳ね上げ装置機械室と運転操作室を設置)、2連目が40フィート下路式鋼板桁(作練式桁)、3連目が“可動橋本体部の桁”となる50フィート下路式鋼板桁、4連面は2連目と同じ作練式桁で、5連目は20フィート上路式鋼板桁となっている。可動桁は、支点となる高さ15.82mの門型鉄柱の頂部から架け渡されたケーブルワイヤーにより、可動桁の片端を持ち上げて80度の角度まで可動桁を上昇させる。橋梁の銘板は、門型鉄柱の頭部付近と、可動桁の側面中央の2箇所に大きめのものが取り付けられている。
1998(平成10)年に近代化遺産建造物として「国指定重要文化財」に、2009(平成21)年には経済産業省が認定する「近代化産業遺産」に認定されたほか、2015(平成27)年には日本機械学会の「機械遺産第70号」にも認定された。







