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ライター・菜々山いく子が、くすんだ日常生活に彩りと潤いを与えるYouTubeの魅力を紹介する本記事。今回紹介するのは「Genと文庫食堂」。昭和生まれの人、昭和なものが「エモい」と思っている人、どちらも楽しめる動画です。

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夜はまさに高画質時代! に、逆行する昭和96年の動画

映像はとんでもないスピードで進化を遂げている。4Kとか? ウルトラHDとか? テレビは叩けば直るもんだと教えられた時代に生まれた私には、ハテ、なんのことやら? なのだけども。そして昨今ではテレビ業界だけでなく、YouTube界にもそんな高画質な動画の波が押し寄せている

しかし! そんな世の中とは真逆の方向に突き進んでいる動画もあるのだ。それが「Genと文庫食堂」というチャンネルで紹介している「昭和96年に作られた料理」シリーズ。おわかりだと思うが、昭和96年を西暦に直すと2021年。令和の技術をフル活用して、バチバチの昭和風に作り込まれたお料理動画なのだ。

「昭和96年のカレーライス」

このシリーズの動画は、ぜひ音量をONにして見てほしい。なぜならご覧のように画像の粗さと共にガッサガサな音も昭和感たっぷり。まさにテレビが白黒からカラーに切り替わった時代を彷彿とさせるお料理番組を再現している。

加えて、そこに吹き込まれたナレーションの旨さよ! なんていうか、かつてのNHKアナウンサーを思わせる名調子風のイントネーションに聞き入ってしまう。途中まで、本当に過去の料理番組かと思っていたが、シャープ製の炊飯器が映った瞬間(動画開始から2分後頃)、令和に呼び戻された。

昭和映像の中に、ちょいちょい挟み込まれる令和

それに、この紳士的なアナウンサー風のナレーションの中にも「沸騰してくると、とんでもねえ量のアクが出てきやがるので」とか、「殺人的に赤い福神漬けを添えて行きます」と、ちょいちょい毒舌を挟んでくるのがたまらない!

さらにこちらは、まさに昭和のご馳走、ナポリタン。

「昭和96年のナポリタン」
新国立競技場すら昭和の景色

冒頭では、この夏に開催された東京オリンピックについて触れている。昭和の映像に移された新国立競技場の姿は現代なのに、どこかノスタルジック。

そうそう、ナポリタンである。作り方はいたって普通。そもそもこれは、ナポリタンの作り方を紹介する趣旨の動画ではない。ナポリタンという料理を通じて、昭和を味わう動画なのだ。

ナレーションで学生時代に朝までやってる喫茶店で、深夜3時にナポリタンを頬張っていると向かいに座った可愛い女の子から宗教の勧誘をされたというエピソードが笑えるので、どうぞ最後までご視聴を。

これらの動画を通じてお気づきの方もいると思うが、このシリーズでは画面サイズをあえてブラウン管時代のサイズに合わせ、それがなんともいい感じに昭和感を醸し出す。スクショ画像の両端が切れているのはそのためだ。しかも、動画の最初と最後に流れるCMまでも作り混んでいて、その卓越した編集センスに舌を巻く!

「昭和96年の喫茶店プリン」
提供は動画の製作者Genさんも大好物という今治に実際にある和菓子店と、とあるYouTubeチャンネル

この「Genと文庫食堂」のチャンネルには、この「昭和96年に作られた料理」シリーズ以外にも膨大な手間と時間をかけて、コカ・コーラやケンタッキーフライドチキン、はたまたタバスコの完全再現にチャレンジした動画やら、飯テロ必至の料理を作っている様子を美しい映像でお届けする動画など非常に奥が深いので、またの機会にぜひ触れていきたいと思う。

文/菜々山いく子

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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菜々山 いく子
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