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東京都調布市は「映画のまち」である。昭和8年、日本映画株式会社が多摩川撮影所を開設したのを皮切りに、各映画会社がこの地に次々と撮影所を立てた。関連会社もこの地に林立し、昭和30年代には「東洋のハリウッド」と呼ばれたほどの賑わいを見せた。

京王調布駅を降りて気づく“映画”の数々

映画会社のスタッフから後に調布市長となり、「カツドウ屋市長」と呼ばれた本多嘉一郎の回想によると、「時代劇・現代劇どちらの撮影にもふさわしい自然環境やフィルムの現像に欠かせない良質な地下水があった」ことが理由という。今でも日活調布撮影所と角川大映スタジオの2大撮影所がある他、小道具や美術装飾を取り扱う会社や現像所など、映画関連企業が集まっており、往時を偲ばせている。

そんなわけで、やって来ました。京王線調布駅。かつては地上を線路が東西に走っていて、駅前は南北に分断されていたが、今では駅が地下化され、すっかり様相が変わってしまっている。

まずこの駅に降りて気がつくのは、様々な案内板がフィルムを模したデザイン(両サイドに「パーフォレーション」=「抜き穴」が並んでる)になっていることだ。また、ホームから改札階まで上がって来ると、特撮映画の「ガメラ」や「大魔神」などの影絵のようなディスプレイが壁一面を覆う。さらに東口改札前の通路には、往年の大スターの手形がずらりと並べられたモニュメント。調布が「映画のまち」であることをアピールしているのだ。

日活スター手形モニュメント

2大撮影所を通る路線

地上に出て興味深いのは、せっかく駅が地下化されたのに駅前のロータリーは未だに北口側、南口側に分断されていること。いずれは一緒になるのかも知れないが、今のところ駅が地上にあった頃の面影が、こんなところに残っている。

京王バス「調46」

さてさて今回の目的地、2大撮影所はいずれも南口側、多摩川の近くに存在する。なのでまずは遠い方から先に訪問しよう、と京王バス「調46」系統に乗り込んだ。ロータリーを出たバスはいったん南下して、「品川通り」に出ると、右折。次の信号で左折して、再び南へ向かいました。

左側の席に着いて窓の外をぼんやり眺めていたら、びっくり。何と、「角川大映スタジオ」の目の前を走り抜けたではありませんか。この「調46」、2大撮影所のどちらも通る路線だったのですね!? いや素晴らしい、素晴らしい。

「角川大映スタジオ」の前を抜けてさらに南下し、またも左折。「桜堤通り」沿いに走り出しました。何だかぐねぐね、うねるように走る道だなぁと思ったけど通りの名を見て、納得。きっと川沿いの、堤に合わせて通された道なんでしょう。つまりこのうねりはかつての川の蛇行の痕跡、と思うと何だか嬉しくなってしまう。

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20年以上前にも来ていた日活調布撮影所...
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西村健
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