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お彼岸に亡き父母のお墓参りをする方も多い。お墓の前で、あるいは仏壇や写真の前で手を合わせて、亡き人と過ごした日々に思いを馳せる――。上皇陛下と上皇后陛下(美智子さま)も、昭和天皇や良子(ながこ)さまへの思い出を語られていることだろう。昭和天皇が崩御されてからも、良子さまは美智子さまたちと「スープの冷めない距離」でお過ごしになった。今回は、スープにまつわる物語である。

「スープの冷めない距離」で良子さまのお世話を

皇太子時代、上皇陛下と美智子さまは、毎週きまって幼い浩宮さま(現・天皇陛下)、礼宮さま(現・秋篠宮さま)、紀宮さま(現・黒田清子さん)を連れてご両親陛下と家族水入らずの会食を続けられた。

昭和天皇が崩御されてのち、新しい天皇(現・上皇陛下)と美智子さまは、一般でいうお姑さまにあたる良子さまを、皇居の吹上大宮御所で最期のときまでお世話をされた。それまでの習わしでは、天皇が崩御されると残された皇太后は皇居のお堀の外に住まわれるものだったのである。

昭和天皇が崩御されてからも、良子さまを囲まれての家族の会食は続けられた。毎週日曜日の午後3時になると、吹上大宮御所はにぎやかな笑い声に包まれる。天皇陛下(現・上皇陛下)と美智子さま、紀宮さまが御所からお庭伝いに吹上大宮御所を訪れる。しばしば秋篠宮さまと紀子さまも、お子さまがたを連れて訪問される。そして、大広間でビデオをご覧になるなどして楽しまれたという。ときには、天皇陛下が母君を乗せた車椅子を押して散歩されることもあった。

良子さまは在りし日の天皇陛下をお偲びになりながら、穏やかな日々を10年あまり過ごされ、御年97歳で老衰により崩御された。歴代皇太后の最長寿であったという。

週1回の会食は良子さまが亡くなるまで続いた。まさに家族がすぐ傍に住む「スープの冷めない距離」でのお暮しであった。大膳課が用意する食事は、100歳近い良子さまのご体調を考えて、肉や野菜は口の中でとろけるほど柔らかく煮たものであった。飲み込みやすいスープも多かったことだろう。

美智子さまが妊娠中にご学友が届けたコンソメスープ

スープは弱った体にやさしい料理である。かつて美智子さまが浩宮さま(現・天皇陛下)をご懐妊されていたころのことである。つわりがひどくてあまり食事がすすまないと伝え聞いた聖心女子大学のご学友が、特製のコンソメスープを作って御所にお届けしたこともあった。

美智子さまがご結婚前に料理を習われていた、料理研究家の石黒勝代さんの指導によってていねいに作られたコンソメスープだったという。そのかいがあってか、美智子さまはお体を回復され、無事浩宮さまをお産みになられたのである。

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美智子さまがお好きな「香ばしいカレー風味のスープ」...
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