チャーハンとラーメンのセット、略して“チャーラー”。愛知で親しまれるこのセットメニューを愛してやまない現地在住のライター・永谷正樹が、地元はもちろん、全国各地で出合ったチャーラーをご紹介する「ニッポン“チャーラー”の旅」。今回は静岡県浜松市の人気店へ。チャーラーの旅の原点を思い起こさせる味と出合いました。
地元の人が集う1992年創業の人気店
1980年代後半から90年代前半に起こったラーメンブーム。筆者が暮らす愛知県は、東京や大阪などの大都市やご当地ラーメンがある札幌や福岡と比べて、完全に出遅れていた。“ラーメン不毛の地”とされ、当時は台湾ラーメンでさえもご当地ラーメンとして認められていなかったのである。
それでも友人や職場の同僚の間で「おいしいラーメンの店がある」と話題になる店もあった。おそらく、町中華で修業した人が独立して開店させたのだと思う。メニューは醤油ラーメンが中心で、ほかにはチャーシューメンと味噌ラーメンくらい。それでも流行った。筆者にとっては懐かしい思い出である。
先日、仕事で静岡県浜松市へ行ってきた。仕事が終わったのは夕方で、食事をして帰ろうと思い、近くにある店をネットで検索。ヒットしたのが中央区和合北1丁目にある『龍の子らーめん』である。
ネットでのレビューによると、昔から地元で愛されている店のようで、平日の夜だったにもかかわらず駐車場はほぼ満車。人気の高さがうかがえた。また、浜松市西区入野町で15年ほど営業していて、2007年に現在地へ移転したらしい。ということは、33年間続いているわけで、創業は1992年。東京でラーメンブームが起こっていた頃ということになる。
今のようにネットがない時代ゆえに愛知県も含めて地方都市は東京でのブームが少し遅れてやってくるため、ここ『龍の子らーめん』のオープンはラーメンブームの前だった可能性もある。