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北海道・夕張と聞けば、甘く香る「夕張メロン」を思い浮かべる方が多いでしょう。しかし私にとって夕張は黒いダイヤ「石炭」、そして、黒煙を吐きながら力強く走る蒸気機関車の記憶に結びつく街です。昭和40年代には、まだ夕張の地には国鉄夕張線や夕張鉄道、大夕張鉄道、真谷地(まやち)炭鉱専用鉄道があり、私は幾度もその姿を追ってカメラを構えました。令和7(2025)年は夕張鉄道が開業して約100年、廃止されて50年という節目の年です。私は53年前、夕張鉄道で夕張地区にある駅、鹿の谷駅、若菜駅、平和駅、錦沢駅を訪れています。今年、再びその跡をたどる旅に出ました。

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帯広駅の豚弁当

さて、旅は食から始まります。帯広駅の売店で求めた「豚弁当」は、小ぶりな折にぎっしりと詰まった豚肉が印象的で、売店のおじさんが「今の豚はどこも美味しいけど、うちはタレが自慢だよ!」と笑顔で勧めてくれた言葉が印象に残っています。

帯広駅の売店で購入した豚弁当

柔らかく香ばしい肉に甘辛いタレをかけて、さらに、一緒に入っている山椒もかけて口に入れると、旅の緊張がふっとほどけていきました。

夕張鉄道は大正15(1926)年に開業し、夕張本町駅から栗山駅、野幌駅を結ぶ、まさに夕張発展の礎でした。昭和30年代になると石炭産業の衰退や炭鉱閉山などで石炭運送も減り、昭和49(1974)年全線旅客営業廃止、そして昭和50(1975)年3月、最後まで残っていた北炭平和炭鉱の閉山に伴い全線が廃止となりました。現在、夕張鉄道の形跡はほとんど残っていないと聞いています。どんな旅になるのでしょう。

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新夕張駅――静寂の出発点
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山口博
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