みんな大好き、うなぎ。東京だけでも相当な数があり、どこに行けばいいのか迷うはず。そこで、覆面調査で美味しくて居心地のいい三ツ星店を見つける「おとなの週末」厳選した名店をご紹介。うな重をはじめ、旨いうなぎが食べたければここへ行くべし。
画像ギャラリー江戸時代から愛されてきたうなぎ
おなじみ「土用の丑の日」を平賀源内が発案したのが江戸時代。それ以来、うなぎは夏のスタミナ源・ご馳走として、日本人に愛されています。
うなぎのこともあり、土用の丑の日と聞くと夏のイメージがありますが、土用は暦の雑節(ざっせつ)のひとつで、年に4回あります。立春、立夏、立秋、立冬の前の約18日間を指します。
夏の土用の丑の日のイメージがあり、うなぎは夏が旬に思う人がいるかもしれませんが、そもそも旬は秋〜冬。ようはいつ食べてもいいのです。食べたいときに食べるべし!!
わたべ(春日)
まるで淡雪のような口どけ。分厚い身の旨さに唸る!
蒲焼きや佃煮を販売する小売り店としてスタート。
使用するうなぎは三河一色産が中心で、特に太く脂がのったもの。素焼き後に小骨を一本一本丁寧に抜くことで、淡雪のような口どけを生んでいるのだ。
うな重は、まずひと口頬張れば、身の格別なふわふわ感に驚く。70年前の創業時から受け継ぐタレは、深いコクがありつつも、あっさりとしていて脂の甘みやコクをより繊細に引き立ててくれる。
ここを訪れるならば、フォアグラに蒲焼きをのせた逸品を注文したい。性質が全く異なる両者の、予想以上の親和性に驚愕するはず。フレンチのような多重な味わいに、思わずワインに手が伸びる。
[電話番号]03-3812-7448
[営業時間]11時半~14時(13時半LO)、17時~21時(20時LO)
[休日]水・木
[交通]地下鉄都営三田線ほか春日駅A5出口から徒歩1分
よし田(浅草橋)
うなぎ好きが思い出すだけで垂涎してしまうほどの店
活きたまま仕入れる質の高い国産うなぎを、注文後に割き始めるのが店主の信条だ。割きたて、蒸したて、焼きたての鰻重と、独創的な料理で贅沢な時間を過ごせる。
でき上がりを待つ時間も心踊らせてくれるのが、同店ならではの魅力だ。上品なダシで煮込んだ淡い味つけのおでんを、カボス果汁を加えた自家製のポン酢で食す「御手運千里」や、素焼きした鰻を秘伝の合わせ味噌に漬け込んだ「よ多漬」など、ここでしか味わえない極上の肴でまずは一献。
タレを絡めながら焼き上げる、うなぎの芳しい香りが店内に漂ってきたら、お待ちかねの鰻重の登場だ! 蓋をあけると食欲を刺激する香りが湯気と共にあふれ出し、身をふっくらと焼き上げる職人の技をしみじみと感じさせる。
肉厚な身を頬張れば、舌の上でホロリとほどけていく繊細な口当たりを堪能。戦後すぐの創業以来継ぎ足したタレは、キリリとした辛口のなかに奥深いコクがあり、脂ののった鰻の甘みを余すところなく引き出していて……もう絶品!
[電話番号]03-3851-7802
[営業時間]11時半~14時(13時半LO)、17時~21時(20時半LO)、土~20時(19時半LO)
[休日]日・月・祝
[交通]JR総武線浅草橋駅東口から徒歩2分
秋本(麹町)
艶やかな焼き色に見惚れる! 老舗の技が集結したうな重
お重の蓋を開けた瞬間、この蒲焼きにひと目惚れした。明治42年の創業から受け継ぐタレを3度まとわせ、紀州備長炭で炙った身は、まるでキャラメリゼしたかのようなテリとツヤを持つ。表面の焼き目はパリッ、中はフワッとした極上の口当たりが楽しめる。
焦げ目のない均一な焼き色には、割き、串打ち、焼き、すべてに隙のない、熟練の仕事ぶりが現れているのだ。
使用するうなぎは、4代目店主が現地に足を運んで選んだ鹿児島と宮崎の契約養鰻場から直送。力強い風味と濃厚なコクを、まろやかで上品な甘さが持ち味のタレが引き立て、ふっくら炊かれたご飯との馴染みを良くしている。
[電話番号]03-3261-6762
[営業時間]11時半~14時半(14時LO)、17時~20時半(20時LO)
[休日]日・祝、第2土(7月は営業)
[交通]地下鉄有楽町線麹町駅3番出口から徒歩1分
うなぎ 仙見(梅屋敷)
名物はインパクト大の豪快な「はみ出し」うな丼
見よ、丼からはみ出したうなぎの迫力を! ひと切れ100g超えが2枚ドドンッ。
飴色に輝く麗しい照りを見れば、誰しもが身も心もメロメロにやられてしまうだろう。うなぎは愛知県三河産の大小サイズを仕入れ、丼には肉厚の大振りなもの、400g前後のうなぎ1匹の3分の2を使用。しっかり焼き目を付けた身はふんわり柔らかく、硬過ぎず柔らか過ぎずの米と口の中で一体となれば、もう箸が止まらない!
米は新潟産コシヒカリ。ふわっと柔らかい身と一体感を出すため硬過ぎないように炊く。大盛りも可能だ。
脂の乗りと食感のバランスがいい細めはお重用。その上品な身の甘みは店主のおすすめだ。夜は〆にうな重が付く「うなぎ尽くしコース」もあり、量とクオリティは感涙もの。
[電話番号]03-3764-2707
[営業時間]11時半~14時半(14時LO)、17時半~21時(20時半LO)
※うなぎが売り切れ次第終了
[休日]水
[交通]京浜急行線梅屋敷駅から徒歩2分
うなぎ料理 よね山(大崎広小路)
ご飯を覆う圧倒的なうなぎのボリュームに店主の心意気を知る
使用するのは、産地を指定せず、店主自らの舌で確かめた身のしまりがよく、脂ののったうなぎのみ。
重箱の蓋をあければ、大振りの蒲焼きがご飯を覆いつくす様は圧巻のひと言。
「うなぎが小さかったら悲しいじゃない」と語る店主の心意気が伝わってくるようだ。その日仕入れるうなぎのサイズにもよるが「鰻重(上)」では基本的に丸ごと2匹分をのせている。
白焼きしてから、30分ほどかけてじっくりと蒸すことで、ふんわりとした口どけのいい食感に。箸で持ち上げれば、ホロリとほぐれてしまいそうなほどの柔らかさを堪能できる。
醤油、みりんなどから作るタレは、あまり煮詰めず、うなぎの風味や旨みがしっかりと伝わるよう、あえて薄味に仕上げている。値段以上の満足感を得られることうけあいだ。
[電話番号]03-6417-3020
[営業時間]11時〜14時LO、17時〜21時半(食事20時45分LO)、土17時~20時半(食事19時45分LO)
[休日]日・祝
[交通]東急池上線大崎広小路駅から徒歩1分、JR五反田駅から徒歩6分、大崎駅から徒歩6分
うなぎ 炙一徹(日比谷)
「坂東太郎」を関西風“地焼き”で 香ばしさも満点
ブランド養殖うなぎとして知られる「坂東太郎」専門の問屋による直営店。エサにアジやサバなどの青魚をまぜ長期育成することで、キメ細やかな身を持ち、サラリとした口どけの良い上質な脂がのる。
これを東京では珍しく関西風の“地焼き”で味わえるのもこの店ならでは。料理長が熟練の焼きの技で仕上げるうなぎは香ばしさが抜群だ。直営店ならではの強みをいかしたリーズナブルな価格も魅力的。
ふんわりとした優しい口当たりの関東風も用意しているので、好みに応じて選びたい。
余分な脂は落としつつも、香ばしく焼き上げる熟練の技が光っている。坂東太郎の特徴である濃厚なコクと風味をダイレクトに堪能したい。注文(予約も可)を受けてから割いてくれる。
[電話番号]03-3501-2550
[営業時間]11時半〜14時、17時〜21時(20時LO)
[休日]日・月
[交通]地下鉄日比谷線ほか日比谷駅A4出口から徒歩2分
小満津(東高円寺)
これぞ職人技! 焼きを追求した“万遍返し”
かつて京橋にあり、政財界の重鎮や著名人が足しげく通った『小満津』。焼きの名人とまで謳われた店主の孫に当たるのが、前田治雄さんだ。その味を再現したいと、あえて同じ店名で店を開いたのが約35年前のこと。
前田さんが特に神経を使うのが、蒸しに入る前の最初の白焼き。「万遍返し」といわれるほど何度も返しつつ、強火でしっかりと焼きを入れることで、余分な脂と臭みを抜く。その後、丁寧に小骨をとりのぞいてから蒸し上げ、醤油とみりんで作る上品な味わいのタレをまとわせながら、再度焼いて香ばしさを引き出す。
表面はパリっとしながらも、ふんわりとした繊細な口当たりと、長く余韻を残すうなぎ本来の風味に、円熟の技をしみじみ感じられるのだ。もっちりと炊かれたご飯やタレとの一体感も見事!
[電話番号]080-8734-1091
[営業時間]11時半〜14時、17時~20時LO
[休日]月(祝日の場合は翌火休)、第2火
[交通]地下鉄丸ノ内線東高円寺駅1番出口から徒歩5分
赤坂有薫(赤坂見附)
竹皮包みで手土産にもピッタリの「柳川鰻せいろ蒸し」
昭和60年創業の九州郷土料理をふんだんに揃えた居酒屋。玄界灘や有明海など、九州各地の漁場でその日の朝穫れたばかりの新鮮な魚介を空輸。それを刺身や焼き物など多彩な調理法で楽しませてくれる。
焼酎のラインナップは麦、芋、米などあわせて120種類以上! 酒の〆にもピッタリなうなぎのせいろ蒸しは、餅米をブレンドしたご飯に蒲焼きをのせ、竹皮に包んで蒸し上げる独自のスタイルだ。テイクアウトも可能で手みやげとして利用する客も多い。
ご飯にはタレとこまかく刻んだ蒲焼きをまぜこんであり、こってりとした美味しさだ。ランチタイムには博多うどんとのセットもある。
[電話番号]03-3592-0393
[営業時間]11時半〜14時、17時〜22時(21時半LO)、土・日・祝16時~21時半(21時LO)
[休日]年末年始
[交通]地下鉄丸ノ内線ほか赤坂見附駅から徒歩1分
『おとなの週末』厳選のうなぎ店、8軒をお届けしました。うなぎが食べたい! というとき、人に「いいお店知らない?」と聞かれたときに、この記事を思い出してください。好みの店が見つかるはずです。
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