厚みのある「てっさ」 日間賀島は「宿ごとにポン酢が違う」
日間賀島では、約60軒の旅館・民宿が営業しています。今回、宿泊したのは西港から徒歩1分ほどの観光ホテル「大海老」です。
タコは通年ですが、フグは10月から漁が解禁となり、翌年3月にかけて味わえます。夕食のメニューは、まさに、フグとタコ尽くしでした。卓上には、大皿にてっさが盛り付けられ、てっちりの鍋がコンロに置かれています。
まずは、トラフグのてっさをいただきます。小皿のポン酢に軽く付けて、口に運びます。身は、弾力に富んでプリプリです。厚さは2mmほど。ほどよい厚みで食べ応えがあります。ポン酢も酸味と旨味のバランスが絶妙です。
「日間賀島は、宿ごとにポン酢が違うのが特徴です。どれも自家製です」。宿の方が、そう教えてくれました。「(大海老は)ユズやスダチを、他の宿よりも多めに入れています。だから、キレがあるでしょう?」
たしかに、そう言われると、さわやかなキレを感じます。それにしても、このコクがいい。聞くと、醤油は、同じ南知多町の蔵元「徳吉醸造」(所在地は知多半島)の「イチヤマト たまり醤油(まろみたまり)」を使っているとのこと。「昔からの杉樽仕込みの醸造による本物の味を引き継いで参りました」と、藏元のホームページにあるように、“本物の味”を実感しました。
炙った白子がクリーミー、てっちり、焼きフグ、唐揚げ…フグ尽くしに舌鼓
炙ったフグの白子も絶品でした。ほのかなきつね色が食欲をそそります。クリーミーで、ほどよい塩気。ポン酢をつけると、酸味でまろやかさが際立つ印象です。
てっちりは、まさに王道でしょう。淡泊なフグの上品な味わいがたまりません。ここでも、ポン酢は大きな役割を果たします。
炭火で焼きフグにすると、淡泊な味わいのフグに、香ばしさと旨味が加わります。ホテルの方に聞くと、「しこの露」という魚醤を付けて焼いているとのこと。南知多町の豊浜漁港に水揚げされる伊勢湾で獲れた新鮮なカタクチイワシが原料の無添加の天然調味料です。「魚醤は匂いにクセがありますけど、焼くことで香ばしくなるんです」。ホテルの方の説明に納得です。
フグの唐揚げは、サクサクでジューシー。一味をふり、調味料(たまり醤油1に対し、料理酒2)に30分漬け込んだ後に、揚げます。この調味料に片栗粉もまぜて、衣にするので、フグの旨味が出るといいます。たしかに、衣にもしっかりと味が付いていて、ご飯が欲しくなるような深みのある美味さです。
最後には、鍋で雑炊。なんともいい香りがあって、やさしい味わいでした。