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3つ合わせてキリマンジャロだった

モシの町から見えた雪をかぶった巨大なプリン型の山、それがキリマンジャロ。そう、私は思い込んでいたが、実は勘違いであることが判明した。

その山は今回、私たちが登る5895mのキボ峰といって、キリマンジャロ山を構成するひとつの峰なのだとか。両脇のマウェンジ峰とシーラ峰も合わせた3峰セットをキリマンジャロ山と呼ぶのだという。

そのキボ峰には富士山のように「お鉢」があり、その一角のギルマンズポイントまで登った後、そのお鉢をぐるっとまわって山頂のウフルピークを目指す。「ウフルとは、スワヒリ語で、フリーダム(自由)の意味だよ」とロビンに教えてもらいながら、ワゴンに乗りガタゴト道を走ること1時半半。標高約1800mの登山口のマラングゲートまで連れていってもらう。

ここで、入山手続きをして毎日、標高約1000mから1500mほどを1日4時間から6時間かけて登っていくのだ。初日は高所とは思えないほど、うっそうとした熱帯雨林のなかをゆっくり進んでいく。日本の山では見かけない真っ黒なサルの親子が顔を出したり、アフリカらしい大きな葉を揺らす木を見たりと飽きることがない。

珍しい真っ黒の猿に遭遇
珍しい真っ黒の猿に遭遇

しかし、赤道直下のため標高が高くても歩いていれば暑い。おまけに私は大蛇のジャンボを首に巻いている。はずしたいが、ジャンボはデカすぎて借りた小さいリュックに入れようにもシッポが飛び出してしまう。途中、私とすれ違うポーターさんや登山客が二度見するのだが、後で「さっきのヘビ女見た?」「見た、見た」などと言われているかもしれない。

大蛇のジャンボを巻いた白石を二度見する人がちらほら
大蛇のジャンボを巻いた白石を二度見する人がちらほら

4、5時間ほど歩くと、木々の中にかわいらしい三角屋根の山小屋が現れた。隙間風が吹き、クモが巣を張るようなトタン屋根のオンボロ小屋をイメージしていたので、私はちょっと感動した。日本の山小屋のように快適である。

むくんだ足をジャンボに乗せて、ごろんと横になっていると、日が西に沈むころ、先に到着して夕食を作ってくれていたコックさんの呼ぶ声が聞こえた。

煮込まれたバナナ

日本の山小屋では、食事の時間になると山小屋のスタッフが食事を提供してくれるが、キリマンジャロの小屋では食事が出ないので、ふもとからコックさんも同行してもらわないとならない。だから、各パーティによって食事が違うのだ。

ランチは甘くてパサパサのパン、砂糖たっぷりのジュース、ジャムクッキーといった虫歯まっしぐらなメニューであった。日本からの高額な登山ツアーは、おかゆも出るのだと登山道で一緒になった日本の方から聞いてうらやましかったが、私たちは、格安現地ツアーなのだから期待してはいけない。

茹ですぎのパスタにトマトケチャップを混ぜただけでも、ありがたいではないかと、皿を見たら、なんとホカホカのジャガイモやニンジンと肉の煮込みがよそられていた。ドロドロに煮崩してあったが、ひと口、食べた私は感激した。タンザニアの肉じゃがではないか!

トマトの皮が浮いていて酸味があるけれど、もし醤油をかけたら和風の肉じゃがっぽい味になるのかもしれない。ああ、ふもとの宿に置いてきた醤油瓶を持ってきたらよかった……そう後悔しながら、もう一度、フォークを突き刺したら、煮込まれたバナナが顔を出した。日本で売られている甘い種類のバナナとは違いイモのような食感だが、やっぱり醤油は合わないかもしれない。

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白石あづさ
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