二次感染の恐れ
【答え】
空気感染する恐れがあるのは、(2)のノロウイルスです。
ノロウイルスは胃腸炎を引き起こし、腹痛、下痢、嘔吐などの症状が出ます。飲食物(特に多いのがカキなどの二枚貝)からの経口感染が多く、感染者の便や嘔吐物からの二次感染も起こります。空気感染する可能性があるのは、嘔吐物などの処理が不十分だった場合に、ノロウイルスを含んだ乾燥した埃などが舞い上がり、周囲の人がそれを吸い込んでしまうようなケースです(塵埃感染)。
(1)のボツリヌス菌の感染経路は、主に飲食物からの経口感染です。そのほか傷口から感染するケースもあります。ボツリヌス菌は「酸素(さんそ)があると増えることのできない偏性嫌気性菌(へんせいけんきせいきん)の仲間」(国立感染症研究所のホームページより)で、ビン詰、カン詰、容器包装詰め食品などを原因とする食中毒が発生しています。初期に胃腸炎症状があり、徐々に神経麻痺症状があらわれ、死に至ることもあります。特に1歳未満の赤ちゃんは、ハチミツを食べて乳児ボツリヌス症にかかることがあるので注意が必要です。
(3)の腸管出血性大腸菌O157が出す「ベロ毒素」は、大腸をただれさせ、血管壁を破壊します。1996年には大阪府堺市で約9500名にのぼる集団食中毒が発生し話題となりました。主な症状は下痢や下血で、死亡例もあります。牛などの家畜が保菌している場合があり、食肉からの経口感染のほか、二次感染により汚染された野菜や井戸水などによる食中毒事例もあります。
(参考)
[2] ノロウイルス|「食品衛生の窓」(東京都福祉保健局)
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/micro/noro.html
[3] ボツリヌス菌|「食品衛生の窓」(東京都福祉保健局)
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/micro/boturinu.html
[4] ハチミツを与えるのは1歳を過ぎてから(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000161461.html
[5] 腸管出血性大腸菌O157|「食品衛生の窓」(東京都福祉保健局)
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/micro/o157.html