防ぐには、マスクや換気が必要
食中毒の原因物質は、他にもフグやキノコなどの自然毒、寄生虫、農薬などの化学物質などさまざまあります。その中で、菌やウイルスによる食中毒の場合、その感染経路には次の4つがあります。
(1)経口感染:病原体を含む飲食物を摂取することにより感染します。
(2)接触感染:病原体がついたドアノブや手すりなどに触れた手で、鼻や口などを触ることにより感染します。
(3)飛沫感染:感染者の咳やくしゃみなどで飛散した飛沫を吸い込むことにより感染します。一般的な風邪やインフルエンザがこれに当たります。飛沫は水分を含み重いためすぐに落下し、通常その影響範囲は2メートル程度と考えられます。
(4)空気感染:病原体が乾燥状態でも感染性をたもったまま埃などとともに空気の流れに乗って拡散し、それを吸い込むことにより感染します。飛沫感染に比べ、広範囲に感染が広がります。
食中毒の場合、多くは経口感染か接触感染ですが、空気感染もするとなると、対策の仕方が変わります。空気感染を防ぐためには、マスクや換気が必要となります。
ちなみに前述のコロナウイルスの場合、日本ではこれまでは飛沫感染を防ぐためにソーシャルディスタンス(2m以上)をとる、衝立(ついたて)を立てるなどの対策が推奨されてきました。しかし空気感染に対しては、これらの対策では不十分です。それどころか、衝立により空気の流れが阻害されて感染リスクが増加する、などの弊害が生じることもあり得ます。
菌やウイルスから身を守るのは自分自身しかありません。菌やウイルスの性質や感染経路などに関する正しい知識を身に付け、適切な対策をとることが大事です。
(参考資料)
[6] 令和3年食中毒発生状況(概要版)p23(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000913577.pdf
出題:三井能力開発研究所代表取締役・圓岡太治