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小田原 城下町・宿場町として栄えた街の一番のご馳走

『小田原 柏又』 @小田原

素材にも技法にもこだわり抜く、毎日でも食べたい小田原きっての老舗の味

築100年を越す木造建築。その店内は炭火で炙られたうなぎの薫香が立ち込めていた。同店のうなぎは「毎日食べられるうなぎ」だと表現される。

しっかり脂の乗ったうなぎはふっくら柔らか。もちっとした皮目が美味しい。なのに、なぜだかさっぱりもしていて、いくら食べ進めても飽きがこない。その秘密はタレと炭。同店の歴史は古く、創業は江戸時代にも遡ると言われるほどだが、その頃から変わらず受け継がれているのが甘みを抑えたタレと備長炭による焼きだ。

梅重 4800円

『小田原 柏又』梅重4800円 甘さを抑えたあっさり味のタレが特徴。蓋を開けて立ち登る香りは備長炭による焼きならでは。遠赤外線で外はカリッと中はふっくら仕上がっている

キリッとしたタレは旨みをダイレクトに感じさせるとともに、炭火で良い塩梅に焦がされて食欲を誘う。うなぎ職人の世界では炭火は焼きのムラができやすく扱いが難しいとされる。コストもかかる。それでも変えないのは、この製法で出来上がる味に自信があるからこそ。このうなぎの旨さ、毎日食べたって飽きないのも当然だ。

『小田原 柏又』

[住所]神奈川県小田原市本町1-9-35
[電話]0465-22-0267
[営業時間]11時半~14時、16時半~19時(LO)
[休日]火・水曜日、年末年始
[交通]JR東海道線ほか小田原駅東口から徒歩15分

『鳥かつ楼』 @小田原

お客の笑顔のために苦労を厭わないその姿勢が垂涎のお重を生む

美味なるものは調理中からして違うものだ。同店のうなぎもそう。焼き台の上でしなだれる肉厚のうなぎは見るからに柔らか。焼き具合を確認する3代目の視線は真剣そのものだ。

水炊き屋として始まった同店は小田原市内のうなぎ屋の中では若い方に入るが、その実力はミシュランの折り紙付き。井戸水で身を締めたうなぎをしっかり蒸すことで、とろっとしつつも軽やかな味わいに仕上げる。

うな重竹 4350円

『鳥かつ楼』うな重竹 4350円 お重からあふれそうなプリッと厚みのあるうなぎは4.5尾で1キロのもの

使うのは強く蒸しても旨みが残る一色産のうなぎ。丁寧に面倒を見られた身はしっとり瑞々しい。絶妙なバランスの辛口タレの随所に職人の繊細な気遣いを感じる。特に、なめらかな舌触りを追求するための工程はまさに職人技。

限界ぎりぎりまで蒸した上で焼くというから、気が抜けない。身が崩れれば焼き直しという苦労も「お客さんが喜ぶからね」とのこと。なんて粋!美味なるうなぎはこうして生まれるのだ。

『鳥かつ楼』

[住所]神奈川県小田原市浜町3-1-46
[電話]0465-22-2078
[営業時間]11時半~14時(13時半LO)、17時~21時(20時半LO)※当面の間、時間を短縮して営業
[休日]火曜日、年末年始
[交通]JR東海道線ほか小田原駅東口から徒歩16分

『清風楼』 @小田原

食堂と料亭、ふたつの空間でうなぎを堪能させる創業150年の老舗

小田原駅東口から歩くこと12分近くの場所にある青物町商店街に、この『清風楼』はある。商店街に面した入り口は、いわゆる食堂と呼ばれている側で、うな重や天丼、さらには焼鳥、刺身などで一杯といった楽しみが待つ。

しかし裏に回ると、貫禄ある看板が出た立派な佇まい。こちらは会席コースを楽しませる料亭の入り口。創業150年近い老舗ながら、目的別にふたつの空間を用意するユニークな店舗なのだ。

うな重(松・吸い物付き) 5000円

『清風楼』うな重(松・吸い物付き) 5000円 肉厚のうなぎを使用。絶妙に火入れをすることで、ふんわりとむっちりの食感を演出。ほどよい焦げも美味しいアクセントだ。会席コースは6200円~で、うな重が出るコースは7700円~。

うな重は国産の養鰻が4400円~、ブランドの共水うなぎは6500円。どちらもその身はふわりと柔らかいが、皮目は香ばしくムチッとした歯応え。そしてタレは甘さ控えめで上品。うなぎの風味をほどよく堪能させてくれる味わいに仕上げられている。お重を頼むと甘味のサービスもあり、この小さな幸せもうれしいかぎり。

『清風楼』

[住所]神奈川県小田原市本町2-12-6
[電話]0465-23-3711
[営業時間]11時半~14時、17時~21時(20時半LO)
[休日]月曜日
[交通]JR東海道線ほか小田原駅東口から徒歩12分

海産物の宝庫はうなぎの産地でもあった

海あり山あり風光明媚な城下町、小田原。ここもまた、うなぎの街だった。相模湾に面した小田原の名物といえばやはり海産物。新鮮なマグロやしらすが山盛りの海鮮丼に、捌きたてふわふわのアジフライ、お土産にちょうど良いかまぼこなど。胃袋がいくつあっても足りないほど海の幸を使ったグルメが豊富な小田原だが、川の幸・うなぎも忘れてはいけない。

年間を通して温暖な気候であり、水源が豊かな小田原は、実はうなぎの生育に適した地。養鰻が盛んに行われてきた名残で、市内にはうなぎ屋が多いようだ。箱根越えをひかえた旅人が精をつけるために小田原でうなぎを食べていたなんて説もある。

箱根までかつては山越えだった道のりも今では車で20分、電車でも40分程度。小田原のうなぎでお腹を満たしてから温泉に向かう……。そんな贅沢な週末で、夏バテの疲れを癒してみてはいかが?

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『うなぎや せきの』@浦和...
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おとなの週末Web編集部
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