週刊漫画誌「モーニング」(講談社発行)で連載中の「クッキングパパ」は、主人公のサラリーマン荒岩一味が、得意の料理の腕を振るって、家族や同僚らとの絆を深めるストーリーが人気。
著者のうえやまとちさん自身が、試行錯誤を繰り返しながら作り上げた自信作のオリジナルレシピを、詳細なイラストと臨場感あふれる筆致で紹介しています。本稿では3月3日号で通算1600話を突破した膨大なエピソードのなかから、毎週1つを取り上げ、その料理にまつわる四方山話をお届けします。
長引くコロナ禍で、自炊をする人が増えているいま、「クッキングパパ」を参考に料理を作って食べて楽しんでみませんか。第27回は「スイカの皮」です。
10分で作れる! スイカの皮で「漬物」
クッキングパパ 第55巻「COOK.547 夏よさらば!! スイカの皮クッキング」では、ふだん無造作に捨てられている皮を使ったアイデア料理4種を紹介。
実は、皮には抗酸化作用のあるアミノ酸などの栄養素が果肉より豊富に含まれていますので、余すところなく食べ尽くしましょう。
まず、下ごしらえとして、表皮の硬い部分を包丁でむいておきます。その際、赤い果肉を少し多めに残しておきます。甘みがきいて使いやすくなるからです。
最初は「漬物」から。短冊切りにして果肉に塩をふると、甘みが増して食べやすくなります。冷蔵庫でひと晩いてから、醤油とマヨネーズでいただきます。
「くずあんかけ」や「野菜炒め」もスイカの皮で!
次は「くずあんかけ」。食べやすい大きさにカットした皮をショウガしょう油で味付けした後に鶏ひき肉のそぼろを加えて、最後にくず粉でとろみをつけます。お年寄りにも食べやすいやさしい味わいになっています。
3品目の「野菜炒め」ですが、火の通りが均一になるよう、材料それぞれ切り方を変えます。皮は薄切りに、ホウレンソウなどの葉ものは大きめに切ります。味付けはゴマ油としょう油だけとシンプルながら、もう一品ほしいときにサッと作れて重宝します。
最後は、スイカの皮だけで作る「キンピラ」。こちらは千切りにした皮を砂糖やしょう油、みりんや酒でしっかり味付けして最後にゴマをふりかけます。シャキシャキの食感を楽しみながら、この食材が何かクイズにしてみては?スイカの皮と知って、その斬新さに驚かれることウケあいです。
どれも5分~10分もあれば作れるカンタンなものばかり。帰省やレジャーで出費がかさむ夏向けの節約レシピは、家計の助っ人となりそうですね。
スイカはなぜ「果物ではなく野菜」?
ところで、「スイカは果物ではなく野菜」と何となく知ってはいるものの、明確な線引きは、イマイチ知られていないのではないでしょうか。
調べてみると、農林水産省はホームページ上で「果樹」の定義を「2年以上栽培する草木植物及び木本植物であって、果実を食用とするもの」としています。
スイカはキュウリやカボチャと同じウリ科に属しており、苗を植えてツルをはわせ1年で収穫する栽培法であることから「野菜」とされているのです。
スイカのほかにもメロン、イチゴ、バナナまで「植物学」上の分類は、「野菜」扱いになります。ちなみに野菜のイメージが強いアボカドは、苗木から実がなるまでに5年以上要する「果物」です。
一方、農水省はスイカ、メロン、イチゴを「実際は果物と同じように食べられていることから『果実的野菜』と呼ばれています」としています。
総務省の家計調査やスーパーの売り場ではスイカを「果物」としており、私達の生活実態に近い状況をふまえたネーミングと言えるでしょう。
文/中島幸恵、漫画/うえやまとち
◆『クッキングパパ』とは?
福岡市博多を舞台に、商社の営業課に所属するサラリーマン、荒岩一味が家族や同僚、友人らに得意な料理の腕前を披露、食を通じて周囲の人々に笑顔とパワーを与える物語。作中ある料理のレシピは、定番料理からオリジナルメニュー、地元九州の郷土料理まで多岐にわたり、詳細なイラストとポイントを押さえた簡潔な説明はいま、すぐ作りたくなると好評を博している。
週刊漫画誌「モーニング」(講談社発行)で1985年から連載している人気シリーズで、2022年8月現在、単行本は162巻。