20世紀になって原因が判明
答えは、(3)「ビタミン」です。壊血病はビタミンCの不足により起こります。
大航海時代には、まだビタミンの存在は知られていませんでした。18世紀に入っても状況に変化はなく、各国の海軍も壊血病の発生に悩まされていました。18世紀半ばに英国海軍の軍医だったジェームズ・リンドは、壊血病の患者が下級船員に多く、士官クラスには少なかったことに着目し、食事の違いに原因があると見当をつけます。
そして、比較実験を行い、柑橘類(オレンジやレモン)が予防・治療に効果があることを突き止めました。ところが、その根拠が明確でなかったことや、レモンの配備に多額のコストを要したことなどから、すぐに対策が取られることはなく、18世紀末に軍医のギルバート・ブレーンの提言で海軍の食事にレモンジュースが取り入れられてから、ようやく壊血病の発症を予防できるようになったのです。
しかし、柑橘類が壊血病になぜ効くのかは長い間分かっていませんでした。1920年になり、英国の生物学者ジャック・C・ドラモンドが、オレンジ果汁から還元性のある抗壊血病因子を抽出し、これをビタミンCと呼ぶことを提案しました。こうして大航海時代以来数百年の時を経て、壊血病の原因がビタミンCの不足だと判明したのです。