養殖ものやシラスは安全? 生魚に潜む“他の”寄生虫とリスク
顎口虫に寄生されたミジンコなどの餌を食べると魚の体内に顎口虫が入り込んでしまうため、管理が徹底された養魚場で安全な餌を食べて育った魚なら、基本的に顎口虫の心配はないということになります。しかし、それでも絶対に寄生虫がいないと言い切ることはできません。
刺身として食べられる安全な川魚として販売されているものもあります。もちろん、寄生虫対策が徹底されていることは間違いないと思いますが、それでも一尾ずつ検査をしているわけではないため、100%の安全が保証されているわけではないことを頭に置いておくことは大切です。
青森県でシラウオを生食した約130人超が顎口虫による「皮膚爬行症」を発症したニュースが話題となっていますが、シラウオをシラスと混同している人もいるようです。シラスは海水魚で、シラウオは淡水魚です。
ただし、海水魚であるシラスにも寄生虫が検出されることはあります。アニサキスの他に代表的なのは、大複殖門条虫(サナダムシ)です。アニサキスに関しては、シラスの体内では中毒症状を発生させるほどの大きさになっていないため、ひどい症状は出にくいと言われていますが、それでもアレルギー症状を引き起こすこともあるため、危険性はゼロではありません。
大複殖門条虫は、サナダムシという別名のほうが知られていると思います。その感染例は多く報告されています。吐き気や下痢、腹痛などを生じることがありますが、アニサキスのような重篤な健康被害が生じることはないと言われています。また、サナダムシの一部が肛門から排泄されることもあります。
ホタルイカの生食も危険
メディアでの紹介方法が「ホタルイカを生食してOK」と誤解を与えかねないと問題になっています。これは、ホタルイカの内臓に旋尾線虫幼虫移行症という感染症を引き起こす恐れのある寄生虫がいる可能性があるためです。旋尾線虫も顎口虫と同様のアレルギー症状とともに、幼虫が皮膚を這い回る皮膚爬行疹を引き起こす恐れがあります。
ホタルイカに関しては、厚生労働省から生食用として販売する場合にはマイナス30℃で4日間以上、もしくはそれと同等の殺虫能力を有する条件で凍結し、内臓を除去すること、または、内臓除去が必要である旨を表示することが求められています。
豚肉などの食肉とは異なり、川魚などの生食は法的に規制されていないため、提供する飲食店も多くあります。それゆえ、生食には寄生虫の危険が伴うことを頭に置き、不安であれば食べないことが現状でできる対策法と言えます。
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