松任谷由実は真夜中のヨットハーバーへ、竹内まりやは自宅のダイニングで
かって松任谷由実は、辛くなると涙で枕を濡らし、真夜中のヨットハーバーにひとり、ぽつねんと座っていたと語っていた。竹内まりやは、活動休止期間中、ダイニングルームのテーブルに座って曲を書きつつも、それらの曲がいつの世に出るのかが分からず、悶悶としてたと教えてくれたことがある。
偉大なミュージシャンでも時々陥る辛いひと時。木に聴診器を当てて、自然の営みを感じることによって、自分に勇気をもらっていた中島みゆき。辛い時間の過ごし方にも彼女のオリジナリティが伝わってくる。そう言えば中島みゆきの歌には、自然描写が多いと思う。
岩田由記夫
1950年、東京生まれ。音楽評論家、オーディオライター、プロデューサー。70年代半ばから講談社の雑誌などで活躍。長く、オーディオ・音楽誌を中心に執筆活動を続け、取材した国内外のアーティストは2000人以上。マドンナ、スティング、キース・リチャーズ、リンゴ・スター、ロバート・プラント、大滝詠一、忌野清志郎、桑田佳祐、山下達郎、竹内まりや、細野晴臣……と、音楽史に名を刻む多くのレジェンドたちと会ってきた。FMラジオの構成や選曲も手掛け、パーソナリティーも担当。プロデューサーとして携わったレコードやCDも数多い。著書に『ぼくが出会った素晴らしきミュージシャンたち』など。 電子書籍『ROCK絶対名曲秘話』を刊行中。東京・大岡山のライブハウス「Goodstock Tokyo(グッドストックトーキョー)」で、貴重なアナログ・レコードをLINN(リン)の約400万円のプレーヤーなどハイエンドのオーディオシステムで聴く『レコードの達人』を偶数月に開催中。最新刊は『岩田由記夫のRock & Pop オーディオ入門 音楽とオーディオの新発見(ONTOMO MOOK)』(音楽之友社・1980円)。