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“整う”というワードが合言葉のように飛び交っている昨今のサウナブーム。深く根付いた銭湯文化とともに、京都でもサウナ人気は急上昇しているようです。そんな中、“京都をいただく”ともいうべき、京都の自然力を体感する施設が増えています。市内の思いがけない場所に、緑豊かな山間部に、そして古くから窯風呂文化のある比叡山の麓に。ゆったり癒しの時を過ごす……そんな京都の自然に心も身体も委ねるご提案。

八瀬に生まれた完全予約制の3つのプライベートサウナ

洛北は比叡山の麓、オオサンショウウオの生息する清流・高野川流域にある八瀬は「八瀬の窯風呂」で知られる土地。壬申の乱で傷を負った大海皇子がこの地の窯風呂で傷の治療にあたったという7世紀の伝承以来、心身を癒し清める場所として、武士や貴族に親しまれてきました。

そんな高野川沿いに“再生”をコンセプトにした宿『moksa』がオープンしたのは2022年3月のこと。静岡の有名店『サウナしきじ』の娘・笹野美紀恵さんがプロデュースした3つのサウナを備えていることでサウナ愛好家からも注目されています。

比叡山へ続く叡山ケーブル・ロープウェイ「ケーブル八瀬駅」や瑠璃光院からすぐの高野川沿いに建つ。鳥のさえずりや川のせせらぎが心地よい。
ゲストルームは40平米以上の広さで、高野川や苔庭に面した4つの部屋タイプがある。大きな窓を開けると清涼な空気と八瀬の季節の移り変わりを楽しめる。
館内のいたるところで自然素材を用いたプリミティブモダンなアートに出合う。

「moksaは解放や解脱を意味する梵語です。現代の暮らしに疲れた身と心を清めて、生まれ変わるような体験を提供したいという想いを込めています」と語るのは総支配人の宍倉宏生さん。そんな再生を促すプログラムのひとつが、日本最古の蒸湯文化にインスピレーションを得たプライベートサウナ3室からなる「蒸庵(じょうあん)」です。

一番人気の「炭蒸(たんじょう)」は、炭化した薪をイメージした黒の世界。サウナ室は茶室のにじり口のような小さい入口を採用し、おこもり感がありながら寝そべることのできる広さも備えています。水風呂やサウナ室では炭の浄水効果を利用し、3つのサウナで唯一外気浴の庭があるのも特徴となっています。

八瀬の小原女(おはらめ)文化を象徴する“炭化した薪”をイメージした「炭蒸」。外気浴のための坪庭も付いている。

比叡山に多く自生し古来より神聖とされるヒノキを基調にした「檜蒸(ひじょう)」は、森林浴のようなリラックスを誘う空間。外から光が差し込むような木漏れ日の演出、清浄なヒノキの香り、ゆったりとスペースをとった休憩室。オーソドックスなサウナながら心が洗われる心地よさです。

「檜蒸」では森林浴に来たかのような木漏れ日や天井から差し込む光を演出。
ヒノキの香りに包まれる「檜蒸」のサウナ室。木製の背もたれは移動可能で、壁にもたれて足を延ばすこともできる。

ミストサウナの「美蒸(びじょう)」は、タイル貼りのサウナ室と大胆な塗り壁がスタイリッシュ。ピンクのライティングは真皮層まで届く特殊ライトによるもので、体内のコラーゲンを活性化するそう。肌あたりがやさしく、サウナの美容効果を最大化した一室です。

「美蒸」は全面タイル貼りのミストサウナ。コラーゲンライトを採用し美容効果に特化した。

3つの空間に共通する水風呂の「打たせ水」は八瀬の地下水を汲み上げた冷水です。設備を整えるだけでなく、照明や音響など細部にまでこだわった贅沢なサウナ空間が広がります。

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おとなの週末Web編集部
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