ニッポン“チャーラー”の旅

愛知初進出! 大阪の名店『塩元帥』が手がける『しおゑもん』で塩ラーメン×塩焼き飯「塩チャーラー」を食す

愛知初進出! 大阪の名店『塩元帥』が手がける『しおゑもん』で塩ラーメン×塩焼き飯「塩チャーラー」を食す

愛知初進出! 大阪の名店『塩元帥』が手がける『しおゑもん』で塩ラーメン×塩焼き飯「塩チャーラー」を食す

チャーハンとラーメンのセット、略して“チャーラー”。愛知で親しまれるこのセットメニューを愛してやまない現地在住のライター・永谷正樹が、地元はもちろん、全国各地で出合ったチャーラーをご紹介。第22回にして初の塩と塩のチャーラー。大阪の名店によるFC店で出合った“塩チャーラー”の実力は如何に!?

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筆者は今年54歳。歳を重ねるごとに食べ物の好みが変わっている。もっとも顕著なのがラーメンだ。それこそ若い頃は深夜にコテコテの豚骨醤油ラーメンを食べても平気だったが、今は絶対に無理。そもそも、こってり系のラーメンは昼でもあまり食べない。

また、血圧が気になる年頃でもあるので、塩ラーメンも敬遠しがち。ま、ラーメンは醤油も味噌も塩分濃度は変わらないんだろうけど。

大阪を拠点とする人気塩ラーメンFCが愛知県に初進出

しかし、以前に訪れた大阪・天神橋筋6丁目の『総大醤』がルーツの塩ラーメン専門店『塩元帥』が手がけるFC店となれば話は別だ。それが昨年6月、愛知県海部郡大治町にオープンした『しおゑもん 大治店』である。

『しおゑもん 大治店』外観

筆者は『塩元帥』へは行ったことがないものの、『総大醤』はよい印象しか残っていない。醤油の味と香り、コクがふわっと広がる醤油ラーメン「黒大醤」や、噛むごとに複雑な味が弾ける「焼き飯」は、思い出しただけで食べたくなる。

『しおゑもん 大治店』は、あま市と愛西市を結ぶ県道79号線、通称“あま愛西線”沿いにある。店の入口にはメニューが掲げられていた。ラーメンは塩のみと思いきや、醤油や味噌もある。さらに、唐揚げやギョーザなどのサイドメニューも充実している。

店の入口に貼られたメニュー。ラーメンは醤油や味噌も用意している

メニューの中で思わず目を奪われてしまったのが「塩焼き飯」。そりゃチャーハンの味付けに塩は必須だが、醤油やオイスターソースも使うからこそ複雑な味わいが生まれるのだ。ラーメンと同様に、塩味をウリにしたチャーハンとはどんなものだろうか。メチャクチャ気になる。

店に入ると、券売機があり、「塩ラーメン」(780円)と「塩焼き飯セット」(+420円)をポチッと。塩焼き飯は単品で580円なので、160円の割引となる。店内はカウンター席と4人掛けのテーブル席があり、筆者はひとりで訪れたのでカウンター席へ案内された。

サイドメニューの扱いではもったいない塩焼き飯のクオリティ

店員さんに食券を手渡して待つこと7、8分。まずは塩ラーメンが運ばれた。具材はチャーシューと白髪ネギ、糸唐辛子のみとこの上なくシンプル。スープの表面に焦がしネギが浮かんでいる。これもアクセントになりそうだ。

「塩ラーメン」(780円)。見た目はオイリーだが、食べてみるとさっぱりしている

まずはスープをひと口。うん、味にカドがなく、やさしくてまろやかな口当たり。しかも、奥行きがある。柚子の皮がこれまた後味をさっぱりさせる。

口の中でじんわりと広がるスープの旨みは、何もチャーハンでなくとも白米に吸収させても十分に旨いのではないか。チャーラーの旅のはずなのに、そんなヨコシマな考えが頭を過ぎった。

そんな中、今度は塩焼き飯が運ばれた。まだ麺は食べていないが、口の中にスープの味の余韻を残したまま、塩焼き飯にレンゲを突っ込み、頬張ってみた。

正直、塩味と塩味ゆえにケンカするかもしれないという不安はあった。ところが、ケンカどころか、がっちりとハグをしている感じ。どちらの味が濃いとか薄いとかそんなレベルの話ではなく、見事に調和しているのだ。

「塩焼き飯」(ラーメンとのセットで+420円。単品は580円)

スープの余韻が消えてから、塩焼き飯だけを食べてみると、やはり旨い。塩焼き飯というネーミングから塩っぱさをイメージしてしまうが、それは皆無。塩ラーメンと同様に、やさしくてまろやかな味わい。そして、深みのあるコクが食欲を掻き立てて、塩ラーメンの麺を食べずにはいられなくなる

金色のスープを纏った、やや太めの麺も食感が良く、なめらかな啜り心地でいくらでも食べられる。トロトロのチャーシューにネギを巻いて食べると、口の中に広がった旨みを塩焼き飯に吸収させたくなった。で、再び塩焼き飯にレンゲを突っ込む。

くぅ〜旨い! 単品で食べても十分に旨いが、やはり、塩ラーメンも一緒に食べてこそ真価を発揮するのである。と、書くと、塩焼き飯は塩ラーメンのサイドメニューと捉えてしまうかもしれない。

きっと、店としてもそのように認識しているだろう。あくまでもここはラーメン店なのだから。しかし、ここまでマッチングが秀逸な、それも塩味のチャーラーは珍しい。塩焼き飯の存在、ひいてはチャーラーのおいしさをガンガンにPRしても良いと思うのだが。

取材・撮影/永谷正樹

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