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日本酒の町・京都伏見で楽しむのは酒粕料理。京都駅から電車で南下して15分ほど。京阪本線・伏見桃山駅または近鉄京都線・桃山御陵前駅を降りたら、食欲をグッと堪えてまずは『御香宮神社(ごこうのみやじんじゃ)』へお参りに向かいましょう。

本殿は徳川家康の命によって慶長10(1605)年に建立。表門は伏見城大手門を徳川頼房が拝領して寄進、拝殿とともに国の重要文化財に指定されている。

伏見と言えば伏見城と豊臣秀吉の印象が強いですが、大河ドラマで話題の徳川家康が征夷大将軍を宣下されたのも伏見城。初期の徳川幕府はこの地にあったと言っても過言ではありません。『御香宮神社』は豊臣秀吉が伏見築城の際に城中の鬼門除けとして勧請し移転したのを、その後、徳川家康がもとの地に戻し本殿を造営した経緯があり、徳川家ともかかわりの深い神社です。

小堀遠州ゆかりの庭、豊臣秀吉が各地から集めた茶花のひとつと伝わる樹齢400年近い椿や巨大なソテツなど、見どころも多い。

貞観4(862)年に境内から「香」のよい水が湧き出たため清和天皇より「御香宮」を授かったのが社名の由来で、境内には今も「御香水」が湧き出ています。

伏見で七名水にも数えられる湧き水「御香水」。徳川頼宣、頼房、義直という徳川御三家の初代が産湯に使ったとも伝わる。

伏見の酒蔵を制覇するきき酒と酒粕グルメ三昧

『御香宮神社』と駅をはさんだ伏見大手筋商店街は、徳川家康によって日本初の銀座が置かれたことを示す石碑があります。この商店街を進み、まずはちょっと早めのお昼ご飯。伏見の18の酒蔵の酒と酒粕グルメが楽しめる『伏水酒蔵小路』へ向かいます。

商店街の入り口近くに置かれた石碑。この北側の一角は今も「銀座町」という地名が残されている。

建物内に9店舗が軒を連ねる隠れ小路のような造りの空間で、どの席でも自由に他店のメニューをデリバリーできるシステム。伏見の日本酒を揃える『酒蔵カウンター』を軸に、ラーメンや焼き鳥、お鮨、おでんとさまざまな専門店が集います。

酒好きのテーマパーク、伏見の日本酒120銘柄を揃える『酒蔵カウンター』。ここで気に入った酒はすぐ近くの系列店『伏水酒蔵堂』で購入可能だ。

酒蔵の街だけに酒粕が豊富な伏見では、毎年秋に「酒粕グルメさんぽ」という食べ歩きイベントを開催しています。『伏水酒蔵小路』の専門店も参加しており、ここでは栄養の宝庫と言われる酒粕を使ったグルメが通年で味わえます。

まずは『酒蔵カウンター』の代名詞的存在〈十八蔵のきき酒セット〉をオーダー。「冷でうまい酒から常温がおすすめの酒、デザートのような味わいのものまでメリハリの利いたラインアップを意識して揃えています」と教えてくれたのは店長で利酒師の林孝彦さん。大吟醸や生原酒、限定酒など極上の日本酒を味わいながら18蔵を制覇です。

温度変化なども考慮してセレクトした伏見18蔵の日本酒が並ぶ〈十八蔵のきき酒セット〉2,430円(税込)。
「18種お好きなものから飲んでいただいてよいのですが、冷は冷たいうちにということで左上から順をおすすめしています。」と店長の林さんからアドバイス。

『酒蔵カウンター』にはつまみなどのメニューもあり、伏見のソウルフード・粕汁からポテサラ、カナッペなどさまざまな酒粕グルメが味わえます。

伏見の酒粕と豆乳を練り込んだ〈自家製ポテトサラダ〉・右780円(税込)や、タコを酒粕床に漬けこんだ〈酒粕漬たこの炙り〉680円(税込)。炙りは酒粕の香りも強くなり酒が進む。

同じ空間内の『89丁目食堂』は肉と炭火にこだわる炭火焼き専門店。〈伏見焼5本盛り〉はマストの一皿で、酒蔵・北川本家の踏込粕(漬け込み用の酒粕)に漬け込んだ串焼きは、香ばしさもさることながら噛みしめたときの肉のしっかりした味わいと複雑な風味がたまりません。

酒粕床に4日以上漬け込んだ京赤地どり、大和どんぐり豚、さつま知覧どりに、つくね、ねぎの5本がセットの〈伏見焼5本盛り〉1,080円(税込)。
『伏水89丁目食堂』は厳選の銘柄肉や新鮮魚介を店主の山本久則さんが炭火で香ばしく焼き上げる。

〆のラーメンは『らーめん門扇(もんせん)』で〈蔵元を選べる酒粕らーめん〉をチョイス。門扇の定番鶏ガラスープに酒粕を加えコク深い味わいに仕立てた名物ラーメンは、8つの蔵元から好きな酒粕を選び、蔵ごとの個性の違いを味わう趣向です。

細麺に特製ダレで煮込んだ鶏チャーシュー、野菜が乗る〈蔵元を選べる酒粕らーめん〉950円(税込)。玉乃光の酒粕で注文したスープは酒粕感やコクの強い仕上がりになった。
酒粕のラインナップは定期的に変更しており、酒粕感の強い黄桜や玉乃光、マイルドな富翁や英勲の大吟醸酒粕、辛さもしっかり味わえる城陽など、風味の違いが楽しめる。

「午前中から日本酒!?」とひるむなかれ。午前11時開店で12時には観光客で混み合うのでちょっと早めの入店がおすすめです。

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満腹になったら、いざ酒蔵の街の中へ...
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おとなの週末Web編集部
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