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「帰って来たヨッパライ」の200万枚突破記念パーティでの発表

1968年2月21日の発売を前にして、「帰って来たヨッパライ」の200万枚突破記念パーティが東京ヒルトンホテルで開催された。1968 年2月19日、新発売の2日前のことだった。このパーティで「帰って来たヨッパライ」に続くシングルは「イムジン河」に決まったと発表された。

すでに「イムジン河」はラジオでオンエアも開始されていた。しかし、集まった新聞記者から、「イムジン河」発表に際し、「朝鮮総連から抗議を受けているのでは?」という質問がなされ、大騒動となった。

この問題を懸念した東芝音楽工業は1968年2月20日、発売の前日に発売中止を決めた。東芝音楽工業は発売に備えて13万枚のレコードをプレスしていた。その多くはレコード店から回収されたが、3万枚は売られていた。人の手に渡っていたのだ。

何故、そんなことが起こったのかというと、当時のレコード店は予約したレコードを前日 に渡すことがあった。厳密に言えば前日で無いこともあった。ぼくは「イムジン河」のシングル盤を入手できた。それは通っていたレコード店のひとつが、夜中、発売日の午前0時に密かに店を開け、予約者にレコードを渡していたからだ。そうやって、回収前の3万枚ほどが市中に流れてしまったのだ。

それでも2月21日の多くのレコード店が店を開けた時には「イムジン河」は消えていたし、ラジオ局もレコード会社にならって放送を自粛した。この騒ぎは多くの新聞記事やニュースとなり、「イムジン河」は幻の名曲となってしまった。

加藤和彦のアルバムの数々

岩田由記夫
1950年、東京生まれ。音楽評論家、オーディオライター、プロデューサー。70年代半ばから講談社の雑誌などで活躍。長く、オーディオ・音楽誌を中心に執筆活動を続け、取材した国内外のアーティストは2000人以上。マドンナ、スティング、キース・リチャーズ、リンゴ・スター、ロバート・プラント、大滝詠一、忌野清志郎、桑田佳祐、山下達郎、竹内まりや、細野晴臣……と、音楽史に名を刻む多くのレジェンドたちと会ってきた。FMラジオの構成や選曲も手掛け、パーソナリティーも担当。プロデューサーとして携わったレコードやCDも数多い。著書に『ぼくが出会った素晴らしきミュージシャンたち』など。 電子書籍『ROCK絶対名曲秘話』を刊行中。東京・大岡山のライブハウス「Goodstock Tokyo(グッドストックトーキョー)」で、貴重なアナログ・レコードをLINN(リン)の約400万円のプレーヤーなどハイエンドのオーディオシステムで聴く『レコードの達人』を偶数月に開催中。最新刊は『岩田由記夫のRock & Pop オーディオ入門 音楽とオーディオの新発見(ONTOMO MOOK)』(音楽之友社・1980円)。

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