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“ひらめき”を得るためのトレーニング法

(1)「知識によるひらめき」を開発するには、さまざまな問題に当たって、計算の仕方や解き方を身に付けていくことです。知識が増せば増すほどひらめく力は高まりますので、勉強の量がものをいいます。このとき有効なのが、以前取り上げた解法暗記学習です。

(2)「連想によるひらめき」を開発するには、勉強の量だけでなく、質も大事です。ある問題について、なぜそのような解き方をするのか、そのためにはどのような視点が必要か、どのような定理・公式と結びつくか、どのような計算や解答作成の工夫があるか、どのような別解があるか、などを深く考え理解していくと、さまざまなものとの連想が広がっていきます。

問題が解けなかったとき、解答を見ると、そこで使う定理、公式、解法など、一つ一つのパーツは知っているケースがほとんどです。それなのにパーツが思いつかないのは、それらを引き出せるようになっていないからです。

パーツを引き出せるようにするには、「手がかり」(フック)をつけることが必要です。たとえば以下のように、設問中に特定の表現や条件があれば、関連する定理・公式・解法などを想起できるように意識して学習することが大事です。それによって、設問から連想できるものが増え、問題の解き方がひらめく可能性も高くなります。

・「少なくとも」という言葉があったら、「余事象」を考える
・「ともに正」という条件の2変数が出てきたら、「相加相乗平均の公式」を考える

(3)「俯瞰によるひらめき」を開発するには、上に列挙したような俯瞰的な視点や考え方を身に付ける必要があります。通常これらの視点や考え方は、体系的に教わることはあまりありません。個別の問題を解く中で教わったり、体験的に身に付けていくものです。

しかし、筋力トレーニングで、筋肉の働きを意識しながらトレーニングすると効果が高まるように、これらの視点や考え方も、意識して学習することで、より効果的に身に付くものと考えられます。俯瞰的な視点・考え方は列挙したものがすべてではありません。みずから俯瞰的な視点・考え方を意識して問題に取り組み、自分の中にない視点・考え方に出会ったら、それらをとり込んでいくことが大事です。

【トレーニング受験理論とは】
一流アスリートには常に優秀なトレーナーが寄り添います。近年はトレーニング理論が発達し、プロアスリートやオリンピック・メダリストはプロトレーナーから的確な指導を受けるのが常識。理論的背景のない我流のトレーニングでは、厳しい競技の世界で勝ち抜けないからです。自学自習が勉強時間の大半を占める受験も同様です。自学自習のやり方で学力に大きな差が出るのに、ほとんどが生徒自身に任されて我流で行われているのが実情です。トレーナーのように受験生の“伴走者”となり、適切な助言を与えながら、自学自習の力=独学力を高めていく学習法です。

圓岡太治(まるおか・たいじ)
三井能力開発研究所代表取締役。鹿児島県生まれ。小学5年の夏休みに塾に入り、周囲に流される形で中学受験。「今が一番脳が発達する時期だから、今のうちに勉強しておけよ!」という先生の言葉に踊らされ、毎晩夜中の2時、3時まで猛勉強。視力が1.5から0.8に急低下するのに反比例して成績は上昇。私立中高一貫校のラ・サール学園に入学、東京大学理科I類に現役合格。東京大学大学院工学系研究科修士課程修了。大学在学中にアルバイト先の塾長が、成績不振の生徒たちの成績を驚異的に伸ばし、医学部や東大などの難関校に合格させるのを目の当たりにし、将来教育事業を行うことを志す。大学院修了後、シンクタンク勤務を経て独立。個別指導塾を設立し、小中高生の学習指導を開始。落ちこぼれから難関校受験生まで、指導歴20年以上。「どこよりも結果を出す」をモットーに、成績不振の生徒の成績を短期間で上げることに情熱を燃やし、学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて難関大学に現役合格した実話「ビリギャル」並みの成果を連発。小中高生を勉強の苦しみから解放すべく、従来にない切り口での学習法教授に奮闘中。

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圓岡太治
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