朝8時から行列の人気店でついにウニを実食!
さて、いよいよ当日。ホテルを6時半にチェックアウトし、車を走らせ向かったのが積丹町のはずれにある『みさき』という店だ。
数ある店の中から、こちらを選んだのには訳がある。まず、ウニ漁師が営む店だということ。早朝の漁でウニを捕り、すぐさま殻から剥いて提供してくれる。
そしてもうひとつの理由が、バフンウニを食べられるから。積丹でも漁獲量が多いのは、ムラサキウニで、バフンウニは希少なのだ。この店でもバフンウニは数に限りがあるらしく、オープン前から並んで確実にゲットを目指そうというわけ。
到着したのはオープン1時間前の午前8時。にも関わらず、すでに店の前には30人ほどが列をなしていた(!)。その列は徐々に伸び続け、オープンの頃には50名ほどが行列。開店後は、先頭のお客さんから順次案内され、われらの番がやってきたのが9時40分頃。回転はそれほど悪くない。
食券を購入して席に座ると、10分ほどでお目当てのものが運ばれてきた。その名も「赤・白 生ウニ丼」、お値段5950円!!
“赤”はバフンウニで“白”はムラサキウニ。ご飯の上を2種類のウニがびっしり覆っているではないか!
まずはムラサキウニから味を確かめてみる。ひと粒を口に含んだ衝撃と言ったら! 一瞬「?」と思ったほど、あっさりとした味わい。水質の良い海をイメージさせるような、爽やかな磯の風味の中からあらわれたものは、すっきりとしたコクと穏やかな甘みとミネラル感。それまでウニの風味だと思っていたものは、クセや雑味によるものだったことを思い知った。
お次はバフンウニだ。こちらはムラサキウニよりも濃厚なコクが広がった。それは、どこかミルクを連想させるようなクリーミーな味わい。コクも甘みも強いが、なんて言うか重さを感じるものではなく、あくまで軽やか。ワサビをつけると、その風味に負けてしまうほど繊細なものだ。
丼として温かいご飯と頬張ってみれば、一瞬にして米粒と混ざり合って消えていった。その口どけを例えるなら、薄く削った天然氷のよう。この儚さよ!
今まで食べてきたウニの味のどれとも異なる積丹のウニには、脳がバグるほどに衝撃を受けた!!
言葉で表現するならば、上品、ピュア、たおやか、清冽、そんなワードを並べるしかない。
これを知った今だからこそ、声を大にして言いたい。
「ウニ、大好物です!」
前述したように、積丹ウニのトップシーズンは、8月中旬まで。まだ間に合う! 今すぐ飛行機のチケットを予約して訪れるべし!!
きっとウニの新味を知ることができるはずだ。
取材・撮影/菜々山いく子