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ゲンズブールの想い出を歌い続ける

ジェーン・バーキンのライヴを初めて観たのは1989年だった。次に1992年3月、昭和女子大学人見記念講堂(東京都世田谷区)で見た。ゲンズブールの追悼公演とも言える1992年のライヴ、ブルーの照明で統一されたステージは今でもはっきりと覚えている。

煙草をひっきりなしに吸いながら、彼女はひたすらゲンズブールの想い出を歌い続けた。日本におけるフランス音楽の泰斗、評論家の永瀧達治(ながたき・たつじ)から、もしかしてライヴが終わったら、楽屋で逢えるかもしれないと言われていたので、ぼくは薔薇の花束を用意していた。そして幸運なことにぼくはジェーン・バーキンと逢えた。花束を渡し、ごく短い挨拶と握手。身長170cmのぼくより、わずかに高い背丈、少しヒンヤリとした手の感触。一生忘れられない想い出となった。親友PANTAに自慢したのは言うまでもない。

どうかジェーン・バーキンの名が、エルメスのバーキンのバッグだけでなく、女優として、シンガーとして、今後も多くの人に語り継がれるように。

ジェーン・バーキンの名盤の数々

岩田由記夫
1950年、東京生まれ。音楽評論家、オーディオライター、プロデューサー。70年代半ばから講談社の雑誌などで活躍。長く、オーディオ・音楽誌を中心に執筆活動を続け、取材した国内外のアーティストは2000人以上。マドンナ、スティング、キース・リチャーズ、リンゴ・スター、ロバート・プラント、大滝詠一、忌野清志郎、桑田佳祐、山下達郎、竹内まりや、細野晴臣……と、音楽史に名を刻む多くのレジェンドたちと会ってきた。FMラジオの構成や選曲も手掛け、パーソナリティーも担当。プロデューサーとして携わったレコードやCDも数多い。著書に『ぼくが出会った素晴らしきミュージシャンたち』など。 電子書籍『ROCK絶対名曲秘話』を刊行中。東京・大岡山のライブハウス「Goodstock Tokyo(グッドストックトーキョー)」で、貴重なアナログ・レコードをLINN(リン)の約400万円のプレーヤーなどハイエンドのオーディオシステムで聴く『レコードの達人』を偶数月に開催中。最新刊は『岩田由記夫のRock & Pop オーディオ入門 音楽とオーディオの新発見(ONTOMO MOOK)』(音楽之友社・1980円)。

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