父の遺志を受け継ぐ魁龍店主、ロックバンド「ツイスト」付き人の経験も
店主の森山日出一さんは1959年、福岡県久留米市生まれ。幼いころから父親のラーメンの味に親しんで育ちます。気性が激しく、喧嘩の腕も一流の父親の血を引いて、中学・高校時代を過ごした小倉では札付きのワルで通り、仲間を集めてバンド活動の日々を過ごしました。
18歳の頃から水商売の道に入り、その底抜けな明るさと玄人はだしの芸でお客さんを魅了し、「北九州の夜の世界で知らぬものなし」と言われ、大小18店舗のお店を展開するほどの頂点を極めます。また、音楽好きが高じてロックバンド「ツイスト」の付き人をするなどのキャリアを持ち、その人脈は幅広いです。
しかし、幼いころから食べてきた久留米ラーメンが忘れられず、築き上げたそれまでの全てのキャリアを捨て、自ら父親の味の復活を決意し、平成4年、小倉に「魁龍」をオープン。「頑固と呼ばれても構わない」とかたくなに久留米の味、父親の味を守り通すという覚悟で始められました。
森山さん曰く「ラーメン店をやりたい!と言ったら父親は、嬉しかったみたいで応援してくれました」
父親のラーメンのみならず、久留米のラーメンはよく食べていたものの、ラーメン作り初めてでした。もちろん簡単には出来ません。そこで森山さんは父親の伝手で久留米のラーメン店を紹介してもらい、久留米ラーメンの基礎を学びました。
ただしそこからは独学で、父親の味、自分が好きな久留米ラーメンの味を求めつつも、どんどん濃厚な味になっていきました。
「親父はこうあるべきというやり方を押し付けてくるのですが、自分としては目指す味があったため、毎日喧嘩でした。けどその時言われたことが後になって大きなヒントとなり、今のラーメンが生まれました。やはり父親には感謝しかありません」とのことです。