×

気になるキーワードを入力してください

SNSで最新情報をチェック

点数アップの3つの方向性

点数を上げるには以下の3つの方向性があります。
(1)まだ解いたことのない新しい問題を解けるようにする
(2)解けなかった問題を解けるようにする
(3)ミスによる失点を防ぐ

中学受験を始めた最初の頃は、インプットすべきことが大量にあるので、(1)が中心の学習となります。しかしそのうちに、(2)の重要性に気づきます。ところが中には(1)の学習の習慣から抜けられず、(2)をおろそかにして次々と新しい問題やテキストにトライしようとする人がいます。新しいことをする方が楽しいし、力が付く気がするのでしょう。

しかしこれは誤りです。習ったことが定着していかなければ、ザルのように抜けて行って、成績はさっぱり上がりません。反復練習で定着させることが大事です。この定着の過程こそが「学習」です。教わって定着しなければ、本当の意味で学習したことにはなりません。

(2)の過程まではやっていても、(3)の過程に取り組んでいる受験生は少なくなります。一番の理由は、ミスを軽んじているからです。答えが違った時に、「単なるミスをしただけで、解ける力はついている」という意識があるからです。そのような生徒はなかなかミスがなくなりません。

上位層ほど、ミスによる失点の痛さを痛感するので、ミスは少なくなりますが、中間層以下では、かなりの点数をミスで失っていることが多々あります。ミスの多い生徒にとっては、ミスをなくすことは、新しい問題を解けるようにすることよりも効果的な点数アップ法だということを理解する必要があります。

受験までの得点アップ法

意識が変わればミスは減る

上位層が多いことで知られるある大手塾に通うB君は、算数の偏差値が当初は65前後でした。塾の学習は自分でこなせていたので、塾の勉強とは別に難問演習をしていました。

算数ではもともと計算ミスなどのケアレスミスが見られたのですが、A君と同じく、やはり夏休みを過ぎた頃からそれが顕著となり、成績が急降下しました。力はついているはずなのに、模試で30点以上もミスで落とすこともあり、一時は偏差値が50を切るまでになってしまいました。

しかしB君も、A君同様、その後ミスを減らしたことで成績が上昇し、10月にはもとのレベルに戻りました。もとのレベルとは言っても、春先とは違い、受験期が近づいた秋にその塾で60台半ばというのは、かなり良い成績です。

B君の場合、ミスが減るようになったきっかけは明白でした。安全圏と思われる学校の過去問を解いたところ、当初は6割程度しか得点できませんでしたが、全問正解を狙うことよりも、ミスをしないよう確認をしながら解くようにさせたところ、8割5分取れたのです。それをきっかけにミスが激減しました。おそらく、より多くの問題を解くよりも、解ける問題をミスなく解く方が高得点を取れるということを本人が自覚したからだと思います。

ミスを防ぐ3つのポイント

ミスをなくすというと簡単に思えるかもしれませんが、それほど容易なことではありません。「字が汚いために計算間違いが多い」などの技術的なことが原因の場合は、比較的改善は容易です。しかし性格的な問題や、根本的に注意力が欠陥している場合などは、改善が難しくなります。

ミスの原因やその改善法は人それぞれですが、よく見られるミスとその改善法をいくつか挙げます。

【算数や理科における計算ミス】
・計算は必ず見直しをして、間違いがないことを確かめる。
・字を乱雑に書かない。綺麗でなくても良いが、見やすい字を書く。とくに数字の「1」と「7」、「7」と「9」、「5」と「6」などが間違えやすいので注意。
・狭いスペースに小さい文字でごちゃごちゃ書かない
・計算はその都度するのではなく、まとめて行う
・工夫して計算する

【漢字の書き損じ】
・「はね」「とめ」「はらい」に注意する
・読みやすい丁寧な字をかくことを心掛ける

【設問の読み間違い、国語の文章の読み間違い】
・大事な箇所に線を引き、意識づける
・何を問われているのかを特に注意して読み取り、それに対する答えを書く

次のページ
イチロー選手の言葉と、ミスの根本的な解決策...
icon-next-galary
icon-prev 1 2 3icon-next
関連記事
あなたにおすすめ

この記事のライター

圓岡太治
圓岡太治

圓岡太治

最新刊

全店実食調査でお届けするグルメ情報誌「おとなの週末」。5月15日発売の6月号では、「うまくてエモい!…