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本誌『おとなの週末』の連載『往復書簡』でもおなじみ、タベアルキスト・マッキー牧元さんの「立ち食いそば」連載。第5回は小伝馬町駅の蕎麦店について。立ち食い店ではないですが、その三原則を貫いているのです。そして、天ぷらの旨さに舌を巻きます。

おいしそうな音の正体は

「ザクッ! ザクッ!」。

突然、痛快な音が聞こえてきた。

隣の客が、蕎麦の上に乗った、天ぷらにかじりついた音である。隣客は、かき揚げそばを食べていた。

かき揚げを噛むごとに、音が響いて、僕に届く。のであった。にんじんと玉ねぎのかき揚げは、揚げたてではないのだが、衣が凛々しくて、しならずに、豪快な音を立てるのである。

ここ小伝馬町の『そば処 おか田』天ぷらが人気で、終始賑わっている。

『そば処 おか田』
『そば処 おか田』

座って食べるので、正確には立ち食いではない。だが、「早い、安い、うまい」という立ち食い蕎麦の三原則を貫いている

僕は「つけそば」に、三つ葉かき揚げを追加した。

しばらく隣客の音を聞いていると、

「はい、お待たせしましたぁ。つけ天そばにかき揚げ、三つ葉天でぇーす」。

奥さんの明るい声が店内に響く。

受け取ってみると、なんと「つけそば」のつけ汁は、かけ蕎麦の温かいツユであった。

「つけ天そば」(730円)
「つけ天そば」(730円)

普通は冷たいつけ汁につけて食べる、天ざるスタイルが多い。天ざるの冷たいつけ汁に冷えた天ぷらをつけるという、侘しさも捨てがたいが、これは天ぷらが生きる。が、温かいツユにつけた方が、断然旨いのである。

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「つけ天そば」をいざ、実食...
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マッキー牧元
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