“晴れの国”での全国植樹祭
岡山県は、降水量が1mm以上の日が全国一少ないことから「晴れの国おかやま」と呼ばれており、植樹祭の大会テーマも「晴れの国 光で育つ 緑の心、第74回全国植樹祭 岡山2024」と銘打って開催された。両陛下は、26日午前10時30分過ぎに式典会場である岡山県総合グラウンド体育館「ジップアリーナ岡山」に到着された。
式典会場は、屋外で行われることがほとんどなのだが、前開催となる1967(昭和42)年の時は天候不良により式典会場を使用することができなかった、という苦い思いをしており、「(岡山県としては)同じ轍は踏みたくない」という理由から、今回は屋内会場での開催となった。屋内会場で行われたケースは過去にもあり、今回だけ特別という訳ではないそうだ。
式典では、天皇陛下は「おことば」を述べられ、両陛下お揃いで「お手植え」と「お手播き」を行なうのが慣例になっている。
お手植え、お手播きされた品種は、天皇陛下がアカマツ、ヒノキ、スギ。雅子さまがクロガネモチ、アテツマンサク、キクザクラ。お手播きは、天皇陛下がヒノキ、スギ。雅子さまがヤマザクラ、イロハモミジであった。式典は正午過ぎに終わり、両陛下はご昼食のため、昨日と同じホテルへと戻られた。
両陛下はご昼食ののち、再び14時30分過ぎにホテルをお発ちになり、岡山市から40km離れた岡山県倉敷市真備(まび)町へと向かわれた。2018(平成30)年7月に発生した豪雨災害の被災地での復興状況を御視察されるためだった。
まびふれあい公園に到着された両陛下は、倉敷市長から「この公園は、小田川が決壊した場所に整備したものです。」と説明を受けると、感慨深げなご様子で周囲を見渡していた。説明を聞き終わると両陛下は、被災地域に向かって黙とうされた。
その後、持ち家が全壊した70代の住民らとご懇談が行われ、雅子さまは、「被害にあわれたからこそ、相手の気持ちがわかりますね」とやさしい声をかけられた。
両陛下は、ご懇談を終えると岡山空港へと向かわれ、帰京の途についた。
文・写真/工藤直通
くどう・なおみち。日本地方新聞協会皇室担当写真記者。1970年、東京都生まれ。10歳から始めた鉄道写真をきっかけに、中学生の頃より特別列車(お召列車)の撮影を通じて皇室に関心をもつようになる。高校在学中から出版業に携わり、以降、乗り物を通じた皇室取材を重ねる。著書に「天皇陛下と皇族方と乗り物と」(講談社ビーシー/講談社)、「天皇陛下と鉄道」(交通新聞社)など。