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アンケート1万8000件から嗜好を分析

全社プロジェクトとして行われた新商品の開発は、今まで通りでは新しいものを生み出せないという決意のもと、2023年8月からスタート。顧客はどんなことに心が動き購買行動に結びつくのか、おかきにはどんな可能性があるのかを探った。

消費行動に関するアンケートを実施。3000人×6回という1万8000件の調査結果から導き出されたキーワードは、「新しい刺激」や「冒険」「季節ならではの特別感」など。そこからプロジェクトチームで出されたさまざまなアイデアは約50件にも上った。「レアチーズケーキの土台におかきを使う」など多くの可能性が検討され、絞り込んでいった結果、「おかきの本質的な美味しさ+αとして新たな価値の提供を目指す」として「ディップするおかき」という表現にいたったという。つまり、ソースをつけて(ディップして)味わうという発想だ。

パッケージは“ソースの沼”にハマってほしいという思いから、抜き加工されていて凝っている

ソースを買い集めて試行錯誤の日々

方向性は決まったものの、どんなものを作ったらいいのか、まるで見当がつかなかったそうだ。

「どういう組み合わせなら心が動くのか、方向性を定めるのが大変だった」と開発担当者。そこで目についたあらゆるソース類を買い集めて、自社のおかきと組み合わせる日々が始まった。

これまでの商品開発は、おかきの味が決まれば完成だった。しかし、新商品の開発では、ディップソースとの相性の難しさやソースが美味しくてもおかきの味が負けてしまうなど試行錯誤が続いた。おかき単品でも、ディップした時でも、それぞれおいしいものを見つけるのが大変だったという。

試作を繰り返していく中で、みんなが「これだ!」と一致する瞬間があった。それが、今回の2種類だ。

因みに、とうもろこしのおかきは、既存の人気商品・とうもろこしをベースにしている。既存品は醤油を使用しているが、こちらの商品ではトマトサルサに合うように、塩味にした上、とうもろこしの量を増やして、ディップしやすい形状に変えるなどの工夫を行った。卵や玉ねぎなどを使ってフレッシュ感を出すための努力も惜しまなかった。

新商品2種を実食してみた!

「桜えびレモン塩おかき×レモンタルタルソース」と「とうもろこし塩おかき×トマトサルサソース」の2種類を実際に食べてみる。

試食でいただいた!(写真/市村幸妙)

最初はまずそのままで、次にディップソースを付けて食べていく。ディップで、味がガラリと変わるというわけではなく、おかきの美味しさが、さらに増すという印象。相乗効果以上になったという感覚だ。

「桜えびレモン塩おかき×レモンタルタルソース」は、餅に桜えびを練り込んで米油で揚げた、エビの香りと風味がしっかりのる揚げおかき。想像の上をいく軽やかさ、サックサクさに感動してしまった。まるごとのレモンを使ったパウダーと果汁のみのパウダーの2種類を使うことで、レモンの酸味や香りだけでなく、ほのかな苦味も感じられる。レモンタルタルのディップソースは、裏ごし玉ねぎ、乾燥玉ねぎ、おろしニンニクを加えたマヨネーズベース。全卵入りで甘みやコクがあるけれど、こちらにもレモン濃縮果汁が入っているので、甘みと酸味のバランスが絶妙だ。

「桜えびレモン塩おかき×レモンタルタルソース」(写真/市村幸妙)

「とうもろこし塩おかき×トマトサルサソース」は、北海道産のスイートコーンパウダーを餅に練り込み、そのパウダーはさらに上掛けとしても使用。おかきはパリッと少し硬めの仕上がりで、とうもろこしの甘みと香りがふんだんに楽しめる。

「とうもろこし塩おかき×トマトサルサソース」

それに合わせるトマトサルサソースは、トマトペーストと濃縮トマトを使って旨みたっぷり。おろしニンニクと玉ねぎで深い味わいを演出。唐辛子を使っているので、ピリリとスパイシーでクセになる味。トマトの濃厚さからは、まさにフレッシュ感も演出されている。

何よりおかき自体のクオリティが高い。素材の風味をきちんと生かしていて、塩分や余計な味で誤魔化していないところが気に入った。さすが、100年もの間、おかきを作ってきたメーカーだ。改めて、おかきという米菓のおいしさに気付かされた。

中にはソースカップが入っているので、手軽にいただけるのもうれしい
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暑い夏に食べたくなる2種も、一足先に実食...
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この記事のライター

市村 幸妙
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