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「入らずの森」は神域

氣多神社境内を囲む森である「社叢(しゃそう)=神社の森」は、神域である「入らずの森」として神聖視され、神事を勤めるときでさえも神官ですら“目かくし”をして神域に立ち入るという。「入らずの森」に自生する照葉樹林(暖地性常緑広葉樹林)は、森深い場所ではきわめてよく原生相が維持され、常緑樹の枯死倒壊と交替したエノキの下に、ヤブニッケイ・タブノキなどの陰樹が生長しつつある状態だという。

境内を囲むように自生する神社の森「入らずの森」は神域とされ、一般の立ち入りは禁止されている=2005(平成17)年9月24日、石川県羽咋市寺家町

昭和天皇もご参拝

1983(昭和58)年5月、石川県森林公園(津幡町)で行われた「第34回全国植樹祭」に出席された昭和天皇は、その途中、氣多大社へお立ち寄りになった。天皇陛下は常に、国家国民のため、「天神地祇八百万神(てんじんちぎやおよろずのかみ)」に祈りを捧げているとされる。もっとも、昭和天皇が香淳皇后と“仲睦まじいご夫婦”であったことは有名であり、あえて「夫婦円満」を祈願するまでもなかったことは、祭神“大己貴命”も気づいていたのではないだろうか。

石川県訪問の折、氣多大社へお立ち寄りになった昭和天皇。左後方には当時の入江相政(いりえ・すけまさ)侍従長の姿も=昭和58年5月22日、写真提供/日本地方新聞協会

文・写真/工藤直通

くどう・なおみち。日本地方新聞協会皇室担当写真記者。1970年、東京都生まれ。10歳から始めた鉄道写真をきっかけに、中学生の頃より特別列車(お召列車)の撮影を通じて皇室に関心をもつようになる。高校在学中から出版業に携わり、以降、乗り物を通じた皇室取材を重ねる。著書に「天皇陛下と皇族方と乗り物と」(講談社ビーシー/講談社)、「天皇陛下と鉄道」(交通新聞社)など。

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