「新しいご当地味噌ラーメンを作りたい」
今回、どのような経緯や想いでラーメン登龍門にエントリーしたのか。島津さんに伺いました。
「私は20数年間、一風堂、そしてラーメンに携わってきました。独立する際に、地元福岡で開業すること、そして5年以内に海外へ日本の食文化を届け、人モノの交流を作るという目標を掲げておりました。そして、とんこつラーメンが福岡のご当地ラーメンとして、地元の人に愛されるように、私は福岡・博多で新しいご当地味噌ラーメンを作りたいという想いがありました。地産地消を考えたときに、今回のラーメン登龍門のテーマが“味噌”と”国産小麦”でしたので、この大会をきっかけに1つの形を表現したいと思い、応募致しました」
「とんこつの聖地」でなぜ“味噌”なのか
島津さんの経歴を見るとわかるように、20数年間働いた一風堂はとんこつラーメンのお店ですし、開業した福岡は「とんこつラーメンの聖地」です。何故そのような経歴と福岡という立地において味噌ラーメン専門店を開業したのでしょうか。
「独立する際、味噌ラーメン専門店をやると言ったら『なんで味噌?』と100人以上に言われました(笑)。味噌を選んだ理由は色々な国で暮らしてみて、あらためて日本の発酵文化や醸造文化の面白さ・奥深さに気づいたからです」
「醤油や味噌、日本酒など、その技術は古くから日本の暮らしに根付いていて、地域によって味に違いがあります。そこから”みそソムリエ”の資格も取り、学びを深めていく中で、とんこつの聖地・福岡だからこそ、味噌ラーメンで挑戦する価値があるのではないかと考えました」
味噌ラーメン専門店にした背景には、こんな島津さんの想いがあったのです。
島津さんが目指す味噌ラーメンとは…「生味噌」
島津さんが試行錯誤のうえ辿り着いたのは、あえて火入れをしない”生味噌”です。生味噌を使用するのは、麹(こうじ)が生きている感じを表現するためで、スープの熱で麹が変化していき、食べ始めと食べ終わりまで飽きずに食べられるという設計です。
島津さんは、次のように話しています。
「味噌を勉強していくうちに、火を入れることにより、味は安定はしますが、味噌本来の特徴が失われ、勿体ないな~と思うようになりました。生味噌はスープの熱で麹が変化し、酸味だったり、塩味、旨味というものが変わっていくのが面白く、それを丼1杯の中で表現したかったのです」
「パンチの効いた濃厚味噌ラーメンも個人的には大好きですが、私が目指しているのは小さな子供からお年寄りの方まで味わえて、毎日でも食べられるような”ほっこり”できる味噌ラーメンです。そして地元を離れた若い子たちが帰省したら”久しぶりに文福行こうか!”といって家族や友達と食べに来たくなる町のラーメン屋さんを目指しています」