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陵印には「丸印」も

月輪陵と後月輪陵に埋葬されている14方の天皇陵印は、それぞれの天皇名が彫られたものが14個あるわけではない。つまり、個々の天皇の名を記したものではなく、二つの陵名を記した陵印が1つあるだけなのだ。しかも、この陵印は「角印」ではなく「丸印」なのである。丸印は、月輪陵と後月輪陵のほかにも、12方10陵印が存在する。

そもそも陵印は、124方の天皇に対して93個あり、そのうち1辺が6センチの角印が98方82個、ここで見られるような直径6センチの丸印は26方11個が存在する。歴代の天皇と陵印の数が一致しない理由は、一つの陵印にお二方の天皇名(重祚や合葬など)が記されているものや、ここ月輪陵、後月輪陵のように複数の天皇陵を一つの陵印に集約しているケースがあるからだ。

具体的には、丸印11個のうち、天皇おひと方の名が彫られたものは9個あり、残りの2個は陵名(圓乘寺陵と圓敎寺陵と圓宗寺陵で一つ、月輪陵と後月輪陵で一つ)に集約される。

陵印には、右から縦書きで「月輪陵後月輪陵」と記される=2005(平成17)年11月25日、月輪陵墓監区事務所でみずから押す(京都市東山区)
月輪陵の背後にある山腹には、観音寺陵(かんおんじのみささぎ)、後月輪東山陵(のちのつきのわのひがしのみささぎ)、後月輪東北陵(のちのつきのわのひがしきたのみささぎ)がある=2005(平成17)年11月25日、京都市東山区

文・写真/工藤直通

くどう・なおみち。日本地方新聞協会皇室担当写真記者。1970年、東京都生まれ。10歳から始めた鉄道写真をきっかけに、中学生の頃より特別列車(お召列車)の撮影を通じて皇室に関心をもつようになる。高校在学中から出版業に携わり、以降、乗り物を通じた皇室取材を重ねる。著書に「天皇陛下と皇族方と乗り物と」(講談社ビーシー/講談社)、「天皇陛下と鉄道」(交通新聞社)など。

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