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本来ならラスト・アルバムだったセカンド・アルバム

『風街ろまん』は1971年11月にリリースされたセカンド・アルバムだ。コンセプトは松本隆のアイデアで、彼が育った古き良き東京の原風景を架空の都市“風街”として現出させている。

本来ならこれが彼らのラスト・アルバムに なる予定だったが、ベルウッド・レーベルの総師・三浦光紀(こうき)とシンガー・ソングライターの高田渡の勧めによって、1973年2月、アメリカ録音の本当のラス ト・アルバム『HAPPY END』が発表され ている。

「風をあつめて」、「夏なんです」といった細野晴臣作品には、シンガー・ソングライター・ミュージックの影響が色濃い。「空いろのくれよん」には、後の大滝詠一のソロ楽曲の萌芽が聴ける。一方で「風」のように日本的な感性とサイケデリック・ロックを合体させた曲もある。

桜井和寿も「はっぴいえんど」から影響を受けた

「はっぴいえんど」は後に“はっぴいえんど系”と呼ばれる「サニーデイ・サービス」などといった後進バンドを生んだ。「ザ・ビートルズ」が後の「オアシス」などに影響を与えたように、「はっぴいえんど」は現在も日本のロックに、そのサウンドとポリシーが継承されている。「Mr.Children」がデビュー(1992年)した頃、桜井和寿にインタビューしたが、彼も「はっぴいえんど」からの影響を述べていた。

「はっぴいえんど」を知らないJ-Rockファンには、このアルバムをぜひ聴いて欲しい。53 年前にこんなに古びないJ-Rockアルバムが生まれていたことを知って頂きたい。

『風街ろまん』

『風街ろまん』
1、「抱きしめたい」
2、「空いろのくれよん」
3、「風をあつめて」
4、「暗闇坂むささび変化」
5、「はいからはくち」
6、「はいから・びゅーちふる」
7、「夏なんです」
8、「花いちもんめ」
9、「あしたてんきになあれ」
10、「颱風」
11、「春らんまん」
12、「愛餓を」

岩田由記夫
1950年、東京生まれ。音楽評論家、オーディオライター、プロデューサー。70年代半ばから講談社の雑誌などで活躍。長く、オーディオ・音楽誌を中心に執筆活動を続け、取材した国内外のアーティストは2000人以上。マドンナ、スティング、キース・リチャーズ、リンゴ・スター、ロバート・プラント、大滝詠一、忌野清志郎、桑田佳祐、山下達郎、竹内まりや、細野晴臣……と、音楽史に名を刻む多くのレジェンドたちと会ってきた。FMラジオの構成や選曲も手掛け、パーソナリティーも担当。プロデューサーとして携わったレコードやCDも数多い。著書に『ぼくが出会った素晴らしきミュージシャンたち』など。 電子書籍『ROCK絶対名曲秘話』を刊行中。東京・大岡山のライブハウス「Goodstock Tokyo(グッドストックトーキョー)」で、貴重なアナログ・レコードをLINN(リン)の約400万円のプレーヤーなどハイエンドのオーディオシステムで聴く『レコードの達人』を偶数月に開催中。近著は『岩田由記夫のRock & Pop オーディオ入門 音楽とオーディオの新発見(ONTOMO MOOK)』(音楽之友社・1980円)。

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